演繹法と帰納法の違いを例文を交えて解説

ふたつの文法

論理的で分かりやすい文章を書くためのフォーマットとして「演繹法」と「帰納法」があります。これらはビジネスライティングでは特に重視されるものであり、読者を納得させる文章を自社サイトに掲載するためにも重要です。
今回は、これら2つの展開方法の違いや、Web記事における演繹法と帰納法の使い方について理解を深めていきましょう。

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演繹法と帰納法の違いは考え方の流れ

演繹法帰納法は考え方の流れが正反対です。どちらも論理的に推論するための有効な方法ですが、演繹法は具体的な一つの結論を得るために推論します。
一方、帰納法は具体的な1つの結論から一般的に考えられる法則を得るために推論するのです。

簡単にまとめると以下のような違いがあります。

  • 演繹法: 事実A + 事実B →結論
  • 帰納法: 結論 → 法則

以下でそれぞれの概要をみていきましょう。

演繹法はあらゆる要素・根拠・事実に基づいて文章を積み立てていく方法

演繹法は、結末が決まっていないうえで、あらゆる要素や根拠、事実に基づいて文章を積み立てていくという方法で書く文章形式です。
つまり、「○○だから▽▽である」という一般的な思考を用いています。数学的思考や三段論法など、事実や根拠、理由があってこそ結論が導き出されるものが演繹法です。

例えば、「全ての人間はいつか死ぬ」という一般論があるとして、「ソクラテスは人間だ」というの事実は「人間」であるソクラテスが「いつか死ぬ」という条件に当てはまることから、ソクラテスがいつか死ぬという結論へ導き出されます。演繹法において事実は結論を述べるにあたり論理的に表現する重要な要素です。

演繹法は書きながら次から次へと新しいアイデアを加えていくことができるので、ボリューミーな記事ができあがる場合もあります。また、初めに予想していた結末とは全く違う終点にたどり着く可能性も秘めています。

内容が広がり過ぎて降り立つ位置が分からない…といった文章にならないよう注意しておけば、予想を大きく超えた情報量豊かで価値あるコンテンツとなるでしょう。

 

演繹法(えんえきほう)について、記事ブログ内にわかりやすく解説した記事があります。簡単に理解できるようシンプルにご説明しています。ぜひ、こちらもご覧ください↓

演繹法(えんえきほう)とは論理展開の仕組み!わかりやすく解説

 

帰納法は結末・経験を先に述べなぜそこに至ったのかを説明していく方法

考え方

帰納法は、結末を先に述べた後に、なぜその結末に至ったのかを説明していくという文章形式です。
帰納法を使った文章は既に結末が明らかになっているので、そこに至るまでの論理展開は読者の頭の中でもゴールが定まったうえで行われます。結末がはっきりしているため、論点がずれることなく文章を作成できます。

ただし、帰納法の場合、結論が間違っていたということもあり得ます。例えば次のような文章はどうでしょうか。

例文1:
明日地球が終わる。地球が終わることは何年も前からいろいろな人が予言している。だれかが地球を救わなければならない。

この文章は明日地球が終わるという結論になっているため、一見本当に地球が終わるのかもしれないという恐怖を覚えますが、明日地球が終わる可能性がどれほどあるでしょうか。本当の原因や結果が分からなくても、文章が論理的に成り立ってしまうものが帰納法なのです。

帰納法を利用しているものの中には経験則や統計学、医療技術や科学などが挙げられます。これまで見てきたもの、経験してきたことに基づいて事実かどうかは分からないがそうかもしれないという事柄によく用いられるのです。

例えば次のような文章です。

例文2:
風邪をひいたときには生姜湯を飲むと喉が楽になって、風邪が早く治った。
わたしの家族はみんな風邪をひいたときは生姜湯を飲んで治している。
だから、風邪をひいたら生姜湯を飲むといいよ。

生姜湯が風邪の治りを早めたという経験に基づいて、実際の原因や事実は分かっていないものの、生姜湯は風邪をひいた人に効くという考え方になっています。こうした文章形式を帰納法というのです。

 

帰納法(きのうほう)について、記事ブログ内にわかりやすく解説した記事があります。「帰納法ってなんだろう?」と思われた方が、簡単に理解できるようシンプルにご説明しています。ぜひ、こちらもご覧ください↓

帰納法(きのうほう)とは共通点から結論を導く手法【わかりやすく解説】

4種類の例文で演繹法と帰納法を比べてみよう!

演繹法と帰納法の基本をインプットしたところで、演繹法と帰納法を使った真逆と分かる4つの例文をご紹介しましょう。

例文1:

  • 演繹法:野菜には栄養があります。人参は緑黄色野菜です。ですから人参は栄養があります。
  • 帰納法:人参には栄養があります。人参は緑黄色野菜です。ということは野菜には栄養があるとわかります。

例文2:

  • 演繹法:ポルシェは高級車です。高級車はお金持ちにならないと手が届きません。お金持ちでないのでわたしはポルシェに乗ることはできません。
  • 帰納法:お金持ちでないひとは私も含めポルシェに乗りません。ポルシェは高級車です。高級車はお金持ちにならないと手が届かないのです。

例文3:

  • 演繹法:猫は動物です。わたしのペットである太郎は猫です。太郎は動物なのです。
  • 帰納法:わたしのペットである太郎は動物です。太郎は猫です。猫は動物なのです。

例文4:

  • 演繹法:大都市の平均所得は高いものです。東京や大阪は大都市です。したがって東京や大阪の平均所得は高くなります。
  • 帰納法:東京や大阪の平均所得は高いという結果が出ています。東京や大阪は大都市です。大都市の平均所得は高くなります。

演繹法と帰納法をWeb記事に取り入れる2つの方法

記事作成
Web記事においては、演繹法と帰納法の違いを理解したうえで、適切な文章形式を用いるようにしましょう。以下では、Web記事における演繹法と帰納法の使い方をご紹介します。

記事内容のアイデア作成に使う

1つ目は、記事内容のアイデアを作成する際に演繹法と帰納法を使用するというものです。どのようなストーリーを形成していくのかをどちらかの論理的思考で作成することができます。ではそれぞれのアイデア作成方法を見ていきましょう。

【演繹法】記事の主人公や雰囲気などを思い浮かべてから内容を組み立てていく

演繹法は、最初に記事を構成する主人公や雰囲気などの細かい部分が思い浮かんだ時に役立ちます。
例えば、「薄毛に悩んでいる男性が、薬を使用することなく薄毛をカモフラージュする方法」を記事にしようというアイデアが浮かんだとします。

薄毛に悩んでいる男性の具体的な悩みとは何でしょうか。なぜ薬を使用したくないのでしょうか。薄毛をカモフラージュする方法には何があるでしょうか。それらの方法にはデメリットもありますか。周りの人はどんな反応をするでしょうか。

こうした要素を考慮しつつ記事内容を組み立てていくことができます。一般的に人間がする論理的思考である演繹法は、比較的展開させやすいものです。結論に結びつけるまでにどれほどの情報を詰め込むかは作者次第です。

【帰納法】記事の結論・展開をイメージしてから内容を考えていく

帰納法を使って記事内容のアイデアを作成するには、記事の全体像をイメージする必要があります。その記事の展開や結論をまず決めるのです。
例えば、薄毛に悩んでいる男性はかつらを使用すると安心できる結論にしようというアイデアが浮かんだとします。

薄毛に悩んでいる男性といえば40代以上の中年男性かもしれない。共感されるためには自分の経験や他の人の悩みも加えたほうが良いかもしれない。かつらが嫌だという人もいるかもしれないから代替案も必要だ。かつらを使うメリットやおすすめのかつらショップ、かつらの選び方なども書きたい。

このように記事の大きな結論を決めておくことで記事のパーツアイデアを引き出すことが可能です。最終的に生み出されたパーツに文章埋め込んでいくことで、帰納法スタイルの記事を書くことができます。もしかすると、パーツを作成しているうちにかつらが薄毛の最善な解決策ではないことに気づくかもしれません。主張を変更しながら最終的な一般結論に結びつけるのが帰納法です。

記事構成の作成に使う

メモ帳

演繹法と帰納法をWeb記事で活用する2つ目の方法は記事構成です。記事に何を書くかというストーリーのみをつくって記事は完成しません。どのパーツをどのように並べるかも重要です。
以下では、演繹法と帰納法それぞれを用いた記事構成への活用例を見ていきましょう。

【演繹法】時系列に並べてストーリーを展開させる

演繹法を使って記事構成を作成するのであれば、時系列に並べるのが一番です。先ほどの薄毛を気にしている男性を対象とした記事の構成を演繹法で作成するのであれば、まずは悩みを感じ始めたころからストーリーを展開させていくと良いでしょう。つまり次のような構成になります。

  • 薄毛の悩みは40代から一気に加速する
  • 薄毛に悩む人は多い
  • 薄毛になる原因3つ
  • 薄毛を抑制する対策法3つ
  • 薄毛をカモフラージュする方法3つ
  • 最終的に薄毛を気にしないのもあり
  • 子どもが薄毛にならないように今から対策する
  • まとめ

このように薄毛を悩みとしている男性の年齢や悩んでいる人の多さ、原因から対策、最終手段や子どものことまで順番に説明したうえで、薄毛の悩みを解決するには何が最も効果的なのかをまとめで記す構成にするとよいでしょう。

【帰納法】記事で最も伝えたいことを構成の最初に持ってくる

帰納法を使って記事構成を作成するには、記事のゴールを決めておく必要があります。その記事でいったい何を伝えたいのかを一番はじめに伝えられるよう構成を作成しましょう。そのゴールとなる主張が読者に大きな印象を与えることができれば帰納法を使ったメリットを感じられるでしょう。次のような構成をつくることができます。

  • 薄毛に悩む男性にかつらをおすすめする理由
  • かつらの選び方
  • かつらのおすすめショップ
  • かつらなんてみっともない?
  • かつら以外の薄毛をカモフラージュする方法3つ
  • まとめ

このように、最も伝えたい結論となるものを構成の最初に持ってきて、その結論に至るうえで重要な情報を順に構成に組み入れていくとよいでしょう。帰納法を使った構成なら、かつらが気になっている人にも「かつらなんてありえない」という人にも、興味を持ってもらうことができます。

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演繹法と帰納法の違いを理解して記事に説得力を持たせよう

演繹法と帰納法は論理的な考え方の流れが真逆です。演繹法は用いられやすいものですが、前提に置く事実が間違っていると論理破綻してしまいます。一方、帰納法は結論が間違っている可能性があります。
演繹法と帰納法のどちらにもデメリットはありますが、正しく活用できれば読者の興味を高め、最後まで読み進めてもらえるような記事を作成することも可能です。読者に説得力ある記事を提供できるよう、演繹法と帰納法の違いを理解しておきましょう。

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