2019年9月、Yahoo!が「コンテンツディスカバリー」サービスの提供を終了しました。
今回は、コンテンツディスカバリーとはどのようなサービスだったのか、そしてコンテンツディスカバリーが終了した今、代替サービスを使うなら何が良いのかをご紹介いたします。
目次
コンテンツディスカバリーとはYahoo!が提供していたサービスの名称
Yahoo!が提供していたコンテンツディスカバリーとは、Webのネイティブ広告のひとつで、Yahoo!ニュースなどの記事の下に「おすすめコンテンツ」としてサムネイルとリンクの形で提供されるものでした。このコンテンツディスカバリーの特徴を詳しく紹介しましょう。
コンテンツディスカバリーは広告らしさを出してはいけない広告だった
コンテンツディスカバリーのようにコンテンツの下におすすめ枠として表示される広告はレコメンドウィジェット型広告と呼ばれ、Yahoo!以外のプラットフォームでも使われている広告枠のひとつです。
広告としてモノやサービスを押し出すことを目的としたコンテンツは審査が通らず、見た人の役に立つ情報が発信されているかどうかを厳しく審査される広告枠だったという特徴があります。
つまり、広告枠でありながら検索インテントはKnowやDoに近いユーザーをターゲットにしていなければならないという広告らしさが少ない広告枠でした。
広告を見てもらうためには掲載先のページに依存する部分が大きかった
レコメンドウィジェット型広告は、2017年の市場規模が148億円との発表がありましたが、その後飽和傾向にあると言われています。2020年現在、予測された伸び率での成長を実際に達成できているかは、その後の発表を探し出すことができませんでした。
リスティング広告は検索結果の上位に表示されるため必ず目に入るようになっていますし、ディスプレイ広告はページ内の広告枠がある場所に表示されるため、掲載先によってはファーストビューのすぐ下に表示されることもあります。
しかし、レコメンドウィジェット型広告は広告枠がコンテンツの下にあることから、ページ内のコンテンツを最後まで読んだユーザーだけがターゲットになっているという特徴がありました。
1兆4,480億円といわれるWeb広告費の中で、コンテンツディスカバリーが何%のシェアを占めていたのかは分かりませんが、レコメンドウィジェット型広告の規模と現状を考えると、市場規模としてはあまり大きいものではなかったことが予測されます。
サービスの開始当初は、厳しい審査を通ったページだけが掲載されるということもあり、クリック単価も低く魅力的なネイティブ広告のひとつでしたが、安く出稿できるという点が広まった結果、広告の質の低下が置き、クリック率の減少が起きてのサービス終了だったのかもしれません。
レコメンドウィジェット型以外にもネイティブ広告にはいろいろな種類がある
コンテンツディスカバリーのような、ページ内に自然に組み込まれた広告を総称してネイティブ広告と呼びます。
ネイティブ広告は大きく分けて7種類に分かれており、SNSのプロモーション広告のようにタイムラインに自然に埋め込まれるものや、検索結果に埋め込まれるリスティング広告もネイティブ広告に当てはまります。
ネイティブ広告のメリットはページ内に自然に広告が自然な形で組み込まれている点にあり、自然に広告が組み込まれている結果、広告に示す拒否反応が抑えられるという特徴があります。
今回はネイティブ広告の中でもコンテンツディスカバリーのようなレコメンドウィジェット型以外の主流の2種類を紹介したいと思います。
インフィード型:記事やタイムライン中に入り込む形の広告
インフィード型の広告はコンテンツとコンテンツの間に広告が入り込む形の広告を指します。Facebook広告やTwitterのプロモーション広告などが一般的です。
SNSでは、さまざまな内容のコンテンツがタイムライン上に並びます。その中に広告が入ってきても違和感なくコンテンツとして受け入れられる点や、広告と分かっていても興味をそそられるものであれば心理的な抵抗なくコンテンツをクリックする傾向が強いという点がインフィード型広告のメリットです。
SNSの広告は、媒体ごとのユーザーの特徴などを意識し、文言や画像の選定にもしっかりと気を配らなければ目に留めてもらいにくいという点に注意が必要といえるでしょう。
ペイドサーチ型:検索結果などで表示される広告
リスティング広告とも呼ばれる広告で、検索結果などで表示されるものがこれにあたり、日本のWeb広告の40%近くをリスティング広告が占めています。
インフィード型と比べると広告だとすぐにわかるのでネイティブではないのではないかと思われがちで、ネイティブ広告ではないと定義される場合もあります。
コンテンツディスカバリーの後継サービスはあるのか
コンテンツディスカバリーの終了の発表の際、Yahoo!は後継サービスは考えていないとの報道がありましたが、それと時期を同じくして、Googleによる新しい広告フォーマット「ファインド広告」の発表がありました。
Googleディスカバー(旧GoogleFeed)への広告出稿サービスが登場
スマホでChromeを利用しているときに、Chromeの検索画面におすすめコンテンツのような記事が並んでいるのを見たことがある方もいるのではないでしょうか?
以前はGoogleFeedと呼ばれていたコンテンツのサジェスト機能で、現在はGoogleディスカバーという名称で運用されています。Googleディスカバーは旧名称の頃から考えると既に4年以上前からあるサービスですが、2019年に広告を出稿できるようになりました。
Googleディスカバーはユーザーに合わせた情報を自動で表示してくれるニュースフィードで、中に掲載される記事は人により全く内容が異なります。ユーザーが興味を持つコンテンツを自動でサジェストしてくれるという特徴と、Androidユーザーの場合はホーム画面からGoogleディスカバーへのアクセシビリティが優れているというメリットがあります。Google広告のヘルプでは最大28億人へのリーチが可能と書かれています。
それに対してファインド広告は、ひとつの広告キャンペーンでGoogleディスカバーだけでなく、YoutubeやGmailのプロモーションタブなどにも表示されるため、幅広いユーザーへのリーチが可能となっています。
ファインド広告の注意点
ファインド広告はGoogleが同時期にサービスを開始したギャラリー広告と同様に、画像による審査落ちのケースが多くあります。公式に提供された画像であっても、審査の段階で合成画像と判断された場合には審査に落ちてしまうといったケースもありました。
コンテンツディスカバリーの後継サービスとしてファインド広告を検討する場合にはガイドラインをしっかりと把握したうえでの出稿を行うことをおすすめします。[注1]
[注1]Google広告ヘルプ:ファインド広告のクリエイティブ ガイドライン
レコメンドウィジェット型広告のメリットは質の高いユーザーの流入が期待できること
レコメンドウィジェット型の広告は、掲載元のページを下まで読んだうえで、さらにその先のリンクをクリックしなければ閲覧されないという特徴から、ユーザーの質が自然と高くなる広告です。訪れたユーザーの満足度をしっかりと得られるコンテンツを設置できれば、CVRも自然と上がることが期待されます。
コンテンツディスカバリーはサービスが終了しましたが、レコメンドウィジェット型の広告は健在です。ユーザー心理に沿った適切なコンテンツでレコメンドウィジェット型広告の運用を行うことをおすすめします。