三字熟語を一覧でご紹介いたします。
四字熟語などと比べると調べる機会が少ない三字熟語ですが、覚えておくと表現の幅が広がります。
かっこいい・美しい・おしゃれ・面白い・知っていると便利な三字熟語をご覧ください。
三字熟語の構成についても簡単にわかりやすくご説明します。
目次
調べてみよう!三字熟語一覧
二字熟語や四字熟語と比べると少し存在感が薄い三字熟語です。
調べてみると、かっこいい、美しい三字熟語があることに気がつきます。
覚えておくと、表現力の幅が広がるでしょう。
かっこいい三字熟語
かっこいい三字熟語をご紹介します。
使用すると文章に重みや鋭さが加わります。
阿修羅(あしゅら) | インドの鬼神。 |
値千金(あたいせんきん) | 高い価値のあること。 |
韋駄天(いだてん) | 仏教の守護神で足が速い。
足の速い人のたとえ。 |
一隻眼(いっせきがん) | ものを見抜く特別な眼識。 |
影武者(かげむしゃ) | 大将などの身代わりの武者。 |
麒麟児(きりんじ) | 才知・技芸に優れ、将来性のある若者。 |
金字塔(きんじとう) | 後世に長く残る優れた業績。 |
外連味(けれんみ) | はったりを利かせたりごまかしたりするようなところ。 |
四天王(してんのう) | 仏教の守護神。
ある分野で最も優れている4人。 |
守破離(しゅはり) | 武道や茶道などの修行における段階。 |
修羅場(しゅらば) | 血みどろの激しい争いの行われる場所。 |
天王山(てんのうざん) | 勝敗や運命の重大な分かれ目。 |
伏魔殿(ふくまでん) | 魔物がひそんでいる殿堂。美名に隠れて陰謀・悪事が企まれている所。 |
三字熟語を使うことで、次のように文章の雰囲気が変わります。
春の宵は素晴らしい。
↓
春の宵のひとときは値千金である。(しゅんしょういっこくあたいせんきん)
美しい三字熟語
美しい三字熟語をご紹介します。
魅せられる美しい字面で、文章に彩りを添えてくれます。
雪月花(せつげつか) | 四季の自然美の代表的なものの総称。 |
真善美(しんぜんび) | 認識の真と倫理の善と審美の美。
人間の理想としての普遍妥当な価値。 |
朧月夜(おぼろつきよ) | おぼろ月の出ている夜。 |
猪鹿蝶(いのしかちょう) | 花札。
萩の猪、紅葉の鹿、牡丹の蝶の3枚。 |
桃源郷(とうげんきょう) | 俗界を離れた別世界。
理想郷。 |
八千代(やちよ) | 8,000年。
きわめて多くの年代。 |
曼荼羅(まんだら) | 仏の悟りの世界を表す図。 |
綺羅星(きらぼし) | 夜空に輝くたくさんの星。
明るいものや立派な人が数多く並んでいることのたとえ。 |
蜃気楼(しんきろう) | 光の屈折現象の一つ。 |
夜想曲(やそうきょく) | ノクターン。 |
薄紅梅(うすこうばい) | 淡紅色の紅梅。
淡紅色の紅梅のような色。 |
宵待月(よいまちづき) | 満月の前夜の月。 |
催花雨(さいかう) | 春の開花を促す雨。 |
星月夜(ほしつきよ) | 星の光が月のように明るい夜。
星明かりの夜。 |
天満月(あまみつつき) | 満月。 |
「雪月花」は、白居易の詩の一節にある言葉です。
とても風情ある美しい言葉なのがわかります。
五歳優遊同過日 一朝消散似浮雲
琴詩酒伴皆抛我 雪月花時最憶君意味:
5年の日々を共に過ごしたが、浮雲のように離ればなれになってしまった。
琴や詩や酒の友は私から去ってしまった。
雪の朝、月の夜、花の時、最も君を憶う。白居易「寄殷協律」
ときには、文章中に詩情溢れる言葉をそっと織り交ぜてみましょう。
おしゃれな三字熟語
おしゃれな三字熟語をご紹介します。
文章の中にこれらの三字熟語が入ると、瀟洒な印象になります。
冬化粧(ふゆげしょう) | 雪が降り積もって、化粧したように真っ白になり、冬らしくなること。 |
登竜門(とうりゅうもん) | 立身出世の関門。 |
摩天楼(まてんろう) | 天をこするかと思われるほどの高層建築。 |
名伯楽(めいはくらく) | 優れた資質を持つ人を見抜く力のある人物。
「伯楽」は古代中国の伝説的な馬の目利きの名前。 |
風物詩(ふうぶつし) | その季節の情趣をよく表しているもの。 |
水菓子(みずがし) | 果物。 |
夏座敷(なつざしき) | ふすま、障子などを取り外して涼しげに整えた夏の座敷。 |
牡丹雪(ぼたんゆき) | 牡丹の花びらのように大きな雪片(せっぺん)となって降る雪。 |
月天心(つきてんしん) | 天頂に輝く月。 |
川逍遥(かわしょうよう) | 川辺を散歩すること。
川のほとりで遊ぶこと。 川に舟を浮かべて遊ぶこと。 |
水蜜桃(すいみつとう) | 果実が大きく水分と甘味に富む桃。
明治期に中国から渡ってきた桃。 |
上記の三字熟語使うと文章がどうなるか、例文で確認してみましょう。
【例文】
風鈴は夏の趣があります。
↓
風鈴は夏の風物詩です。
【例文】
ふすまや障子を開け放した座敷で果物をいただく。
↓
夏座敷で水菓子をいただく。
【例文】
彼は優れた資質を見抜く目を持つ人として知られている。
↓
彼は名白楽として知られている。
上記の三字熟語を使った方が文章に詩情が宿るのがわかります。
幾つも覚えておいて、必要なときに使えるようになりましょう。
面白い三字熟語
響きや字面が面白い三字熟語を集めました。
これらの三字熟語が入ると、文章がユニークになったり朗らかになったりします。
天邪鬼(あまのじゃく) | 妖怪。
何事にも人の意に逆らった行動をすること。そのような人。 ひねくれ者。 |
有頂天(うちょうてん) | 得意の絶頂であること。そのさま。 |
閻魔帳(えんまちょう) | 閻魔王が死者の生前の行いを書きつけておくという帳簿。
教師が生徒の成績や行状を書きとめておく手帳の俗称。 |
八百万(やおよろず) | 数の限りなく多いこと。 |
天狗風(てんぐかぜ) | 突然吹きおろす旋風。つむじかぜ。 |
一張羅(いっちょうら) | 所有している中で最も良い衣服。 |
太平楽(たいへいらく) | 雅楽の曲名。
勝手なことを言ってのんきにしていること。 勝手気ままに振る舞うこと。そのさま。 |
能天気(のうてんき) | 軽薄で向こう見ずであること。
のんきでばかげていること。そのさま。 |
安本丹(あんぽんたん) | 間が抜けていて愚かなこと。そういう人。 |
頓珍漢(とんちんかん) | 物事のつじつまが合わないこと。
間の抜けた言動をすること。そのさま。その人。 |
守銭奴(しゅせんど) | 金銭に執着し、貯めることだけに熱心な人。
けちな人への蔑称。 |
素寒貧(すかんぴん) | 貧しくて何も持たないこと。そういう人。そのさま。 |
棚牡丹(たなぼた) | 思いがけない好運を得ること。 |
猪口才(ちょこざい) | 小生意気なこと。こざかしいこと。そのさま。そのような人。 |
上記の三字熟語の雰囲気を例文で確認してみましょう。
【例文】
小生意気なやつめ。
↓
猪口才なやつめ。
【例文】
あの人はけちだからね。
↓
あの人は守銭奴だからね。
【例文】
ギャンブルで負けて貧しくて何もなくなってしまった。
↓
ギャンブルで負けて素寒貧だ。
面白い三字熟語を使うと、マイナスの意味や悲惨な状況が、どこかユーモラスに感じられるようになります。
きつい文章や物言いを少し和らげたいときなどに使ってみてもよいでしょう。
知っていると便利な三字熟語
普段から使いやすく、知っていると便利な三字熟語を教えてください。
わかりました。
次の三字熟語については知っておくと便利です。
不可逆(ふかぎゃく) | 再びもとの状態に戻れないこと。
取り返しがつかないこと。 |
不条理(ふじょうり) | 筋道が通らないこと。
道理に合わないこと。そのさま。 |
不文律(ふぶんりつ) | 互いに心の中で了解し合っている決まり。 |
不退転(ふたいてん) | 信念を持ち、何事にも屈しないこと。 |
未曾有(みぞう) | いまだかつてなかったこと。 |
無尽蔵(むじんぞう) | いくら取ってもなくならないこと。そのさま。 |
檜舞台(ひのきぶたい) | 檜材で床を張った舞台。
じぶんの手腕を人々に見せる晴れの場所。 |
審美眼(しんびがん) | 美を的確に見極める能力。 |
寂寥感(せきりょうかん) | 心が満ち足りず、もの寂しいこと。 |
老婆心(ろうばしん) | 必要以上にせわを焼こうとする自分の気持ちをへりくだっていう語。 |
試金石(しきんせき) | 物の価値や人の力量などを計る基準となる物事。 |
大御所(おおごしょ) | 引退してもその世界で大きな勢力を持っている人。
その道の大家として大きな勢力を持つ人。 |
御題目(おだいもく) | 口にするだけで、実質を伴わない主張。 |
居丈高(いたけだか) | 威圧的な態度をとるさま。 |
「居丈高に命令する」「御題目を唱える」など、普段の会話にも出てくる三字熟語です。意味を確認しておきましょう。
三字熟語の構成:3つのタイプ
三字熟語の構成には次のタイプがあります。[注1]
・「一字+二字」:一字の語の後ろに二字の語を加えた熟語
例:雨模様(雨+模様) 冬化粧(冬+化粧) ・「二字+一字」:二字の語の後ろに一字を加えた熟語 例:牡丹雪(牡丹+雪) 老婆心(老婆+心) ・「一字+一字+一字」:一字の語の集まりから構成される熟語 例:雪月花(雪+月+花) 真善美(真+善+美) |
意味の切れ目を見分ければ、簡単にわかります。
[注1]ベネッセ教育情報サイト【熟語の組み立て】漢字三字の熟語の組み立ての見分け方
素敵な三字熟語を覚えておこう
三字熟語には、かっこいい・美しい・おしゃれな言葉が多くあります。
ご紹介した一覧表の中から、お気に入りの言葉を見つけてみてください。
文章の品格を上げたいとき、情緒を表現したいとき、より的確に伝えたいとき、適切な三字熟語がないか思い浮かべてみましょう。
参考:小学館「デジタル大辞泉」
小学館「精選版 日本国語大辞典」