先日引退された◯◯先生の作品、まさに有終の美を飾るものでしたね。
有終の美を飾る??
最後まで立派な結果を残したということです。
「有終の美」「有終の美を飾る」の意味・使い方・類語・英語表現を解説いたします。
「優秀の美」と書くのは誤用です。気をつけましょう。
正しく理解して、適切な場面で使ってみましょう。
目次
「有終の美」とは【意味】
「有終の美」とは、物事をやりとおし、最後を立派に仕上げることです。
デジタル大辞泉には次の記載があります。
ゆうしゅうのび【有終の美】
物事をやりとおし、最後をりっぱにしあげること。結果がりっぱであること。
「有終の美を飾る」
[補説]「優秀の美」と書くのは誤り
[引用]小学館「デジタル大辞泉」
退職や引退などに関連してよく使われる表現です。
例文で確認してみましょう。
【例文:有終の美を飾る】
彼女は、退職前の1年間、素晴らしい業績を挙げて有終の美を飾った。
彼は、引退試合でホームランを打ち、有終の美を飾った。
「有終の美」は、最後が立派であるときに使われます。
最後が華やかであったというポジティブなニュアンスがあります。
「優秀の美」は誤用
「ゆうしゅうのび」を「優秀の美」と間違えてしまうこともあるようです。
正しくは「有終の美」です。
× 優秀の美 ↓ ◯ 有終の美 |
「有終の美」の使い方【例文】
「有終の美」の使い方を例文を挙げてご紹介します。
「有終の美を飾る」
「有終の美を飾る」という慣用句は、退職や引退試合などの場面で使われます。
「飾る」には、「立派にやり遂げることによって価値あるものにする」という意味もあります。
例文で確認してみましょう。
陸上部の部長は最後の試合で素晴らしい成績を残し、有終の美を飾った。
彼女は、退職前にチームを率いて優秀賞を受賞し、有終の美を飾った。
最後のコンクールでは金賞をとって有終の美を飾りたい。
みんなで最後の試合に勝って有終の美を飾ろう。
最後が立派で華やかであったことを称えるときに使われます。
その他
「有終の美を飾る」という言い方もありますが、「飾る」をつけずに使うこともあります。
例文で確認してみましょう。
娘の有終の美を見届けるために卒業コンサートの鑑賞に行く。
最後にこの結果を出せたことは有終の美といえるだろう。
先輩は有終の美となる成績を残して引退された。
やはり、最後が立派である意味で使われます。
「有終の美」言い換え表現【類語】
「有終の美」の類語表現をご紹介します。
最後が立派である様子を表現する言葉があげられます。
- 大団円(だいだんえん)を迎える
- 掉尾(ちょうび)を飾る
- 花道を飾る
大団円を迎える
「大団円(だいだんえん)」は、演劇や小説などの最後の場面で、全てがめでたく収まる結末という意味があります。
【例文:大団円】
読んでいた物語が大団円を迎えた。
ハッピーエンドと似たニュアンスで使われます。
掉尾を飾る
「掉尾(ちょうび)」は、最後になって勢いが盛んになることです。
【例文:掉尾を飾る】
年末の締めくくりの行事をしっかり行い、今年の掉尾を飾りましょう。
最後が盛り上がって終わる様子を表します。
花道を飾る
「花道」には、人に惜しまれて引退する時という意味もあります。
【例文:花道を飾る】
彼女は、素晴らしいパフォーマンスを披露し、引退の花道を飾った。
最後が素晴らしく、惜しまれて華々しく引退するときに使われます。
「有終の美」の由来【語源】
有終の美の「有終」の語源は、中国です。
中国最古の詩集「詩経」に、次の文章があります。
放蕩上帝、下民之辟。
疾威上帝、其命多辟。
天生烝民、其命匪諶。
靡不有初、鮮克有終。
[引用]「詩経」大雅・蕩
最後の一文が、次の意味を表しています。
- 初めは良いが、終わりまで全うする者は少ない。
上記が転じて、「有終」が「終わりを全うすること」という意味に使われるようになりました。
そこに「美」を加えて、「有終の美」という言葉になりました。
ちなみに詩経には、周王朝の安定した時代から、混乱する末期までの詩が収められています。
詩経の詩はいずれも作者不詳ですが、孔子が編纂したといわれています。
「有終の美」の英語表現
「有終の美」は、英語では次のように表現します。
- done to perfection
- bring〜to a successful conclusion
例文で確認してみましょう。
【例文:有終の美を飾るの英語表現】
I did it to perfection.
意味:私は完璧にやり遂げた。
↓
私は有終の美を飾った。
【例文:有終の美を飾るの英語表現】
He brought the project to a successful conclusion.
意味:彼はそのプロジェクトを成功裏な結果へと導いた。
↓
彼はそのプロジェクトの有終の美を飾った。
【注意点】冠婚葬祭での使用は避ける
「有終の美」は、「最後を立派に仕上げる」というポジティブな意味がありますが、冠婚葬祭での使用は避けたほうが無難です。
「有終の美」は、弔事のような悲しみの場面にはふさわしくありません。
また、終わりを意味する言葉であるため、慶事にもふさわしくありません。
「有終の美」は、弔辞や祝辞で使わないように気をつけましょう。
「有終の美」と表現してみよう
「有終の美」が使えると、表現の幅が広がります。
〇〇さんは、素晴らしい成績で最後まで立派な結果を残しました。
↓
〇〇さんは、素晴らしい成績で有終の美を飾りました。
「有終の美」を使うと、華々しい最後であったことがニュアンスとして伝わります。
小さなことですが、一つひとつの表現の意味を正しく理解して、自信をもって使えるようになりましょう。