算用数字と漢数字の使い分け7つのポイント

算用数字と漢数字の使い分け

算用数字とは、アラビア数字とも呼ばれる数字です。

漢数字とは、漢字で表される数字です。大字(だいじ)と呼ばれる旧字の表記もあります。

 

算用数字:0123456789

漢数字:零一二三四五六七八九十

大字(旧字体):零壱弐参旨肆伍陸漆捌玖拾

 

「一日?1日?どちらで書こう…」

「文章作成していると、数字と漢数字の使い分けに迷ってしまう…」

「数字表記の社内ルールはあるけれど、何に基づいているのだろう…」

 

そんな疑問の声にお答えして、算用数字と漢数字の使い分けについてわかりやすく解説いたします。

すっきり理解してスムーズな文章作成につなげましょう。

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算用数字と漢数字の使い分け7つのポイント

算用数字と漢数字の使い分けのポイント

文章作成をしていると、「これは算用数字?漢数字?」と迷う場面が多くあります。

「横書きでは算用数字、縦書きでは漢数字を使う」という考え方もありますが、読みやすさを優先する記事作成では、必ずしもこれは当てはまりません。

こちらでは、共同通信社「記者ハンドブック第13版」と文化庁の資料などに基づいて、数字表記のスタンダードをご説明いたします。

 

【引用:「記者ハンドブック 第13版」共同通信社】

記事中の数字は、数量や順序などを示す場合は原則として洋数字慣用句など漢数字を用いる。見出しも本文と同様とする。

 

【引用:文化庁 公用文の作成に関する成果物について】

語の構成用語として用いられる数などは、漢数字を使う。

「12月2日」「2〜5人」のように、日にちを示したり、数を並べたりする場合、算用数字で表記を統一することがある。

 

これらを参考に、下記を基本のルールとすることが一般的です。

 

  • 算用数字「1など」: ほかの数に置き換えられる数字(数えられる数字)、数量、順序
  • 漢数字一など」  : 語句を構成する要素である数字、慣用句、ことわざ、熟語

 

わからないな…と感じる場面では、下記の基準で簡単に判断することもできます。

 

  • ほかの数字に置き換えられるなら算用数字
  • ほかの数字に置き換えられないなら漢数字

 

それでは、ポイントを詳しく見ていきましょう。

 

ポイント1. ほかの数に置き換えられる数字は算用数字

算用数字と漢数字の使い分け

数字を含む語句で、その数字がほかの数に置き換えられる数字は、算用数字で表記します。

数えられる数字算用数字、ともいえます。

説明だけではわかりにくいため、例文で見てみましょう。

 

【例文:ほかの数に置き換えられる数字は算用数字】

1日当たりの平均です。

丸1日かかった。

1学期が終了した。

2階建ての家で暮らす。

3度の挑戦でクリアした。

 

例文に使われている数字は、ほかの数字に置き換えてもその語句が成り立ちます。

このような場合には算用数字を使います。

 

ポイント2. 数量は算用数字

数量・順序は算用数字で表記する

数量を示す数字は算用数字を使います。

 

【例文:数量は算用数字】

2,000ccのセダンに乗っている。

350グラムの砂糖を使用している。

家に帰ってコップ3杯の水をガブ飲みした。

 

「数量は算用数字」と知っていれば、迷う部分が1つ減りますね。

 

ポイント3. 順序は算用数字

1番、2番のような順序は、算用数字を使います。

 

【例文:順序は算用数字】

満面の笑みを浮かべながら1番でゴールした。

1つ目の信号を右へ曲がる。

3人目の子どもが男の子だ。

 

とくに、1つ目、2つ目などは「あれ?どちらだったかな?」と迷ってしまいがちですが、順序を表している場合には算用数字を使うと考えましょう。

 

ひとつ、ふたつ、みっつ

それでは、「ひとつ、ふたつ、みっつ…」はどう表わせばよいでしょう。

文化庁の資料によると、「ひとつ、ふたつ、みっつ」について、公用文では漢数字を用いるという記載があります。

ただし、物事を数えるときに使う場合には算用数字のほうがわかりやすいため、使うこともあるとのことです。[注1]

記事作成では、「1つ、2つ、3つ」がわかりやすいのではないでしょうか。

 

ポイント4. 数字が語句を構成する要素のときは漢数字

語句を構成する数字は漢数字で表記する

こちらは後のポイントにもつながる考え方ですが、語句を構成する要素である数字漢数字を使います。

「ほかの数字に置き換えられない」とすれば、それは語句を構成する要素である数字です。

例文で見てみましょう。

 

【例文:語句を構成する要素は漢数字】

権分立

福神

 

例文では、どの数字もその語句を構成する要素であり、ほかの数字に置き換えられないことがおわかりいただけるかと思います。

 

ポイント5. 慣用句は漢数字

慣用句ことわざ熟語は漢数字で表記する

慣用句とは、習慣的に使われてきた言葉や言い回しのことです。

慣用句に使われる数字は漢数字で表記します。

 

【例文:慣用句は漢数字】

からまで

つに

の言う

 

例文は、どの語も決まった言い回しです。この場合には漢数字が使われます。

「一か八か」「1か8か」と書いたらおかしいとわかれば納得ですね。

 

ポイント6.ことわざは漢数字

「一石二鳥」など、ことわざに使われる数字も語句を構成する要素であるため、漢数字を使って表記します。

うっかり算用数字を使ってしまいそうなことわざもあるため、チェックしてみましょう。

 

【例文:ことわざは漢数字】

度あることは度ある

石の上にも

度目の正直

 

例文はことわざであるため、しっかり漢数字での表記をしましょう。

 

文化庁の資料や、共同通信社の記者ハンドブック第13版にも下記の記載があります。

 

【引用:文化庁/数字の使い方】

横書きであっても、語の構成用語として用いられる数などは、漢数字を使う

ア 熟語、成語、ことわざを構成する数

例)二者択一 千里の道も一歩から 三日坊主 再三再四 幾百 幾千 等

 

【引用:記者ハンドブック第13版(共同通信社)】

漢数字使用の例

(2)熟語、故事、成句、慣用句

(例)一丁上がり 一日船長 一人二役 第二の人生 三角形 第三者 三権分立 五月雨

 

ポイント7. 熟語は漢数字

熟語漢数字で表記します。

例文でチェックしてみましょう。

 

【例文:数字表記を漢数字とする場合】

家団欒

 

「熟語は漢数字」と、わかってはいても、「一汁三菜?1汁3菜?」と、つい迷ってしまうこともあるかもしれません。

迷ったら、その語が熟語かどうかで判断しましょう。

くれぐれも、「危機一髪」「危機1発」なんてお書きになりませんよう…

 

算用数字と漢数字の使い分けの豆知識

さて、算用数字と漢数字の使い分けのポイントをご説明いたしましたが、ほかにも知っておきたい豆知識をご紹介いたします。

「一つひとつ」「一人ひとり」

迷いがちな漢数字の表記

「ひとつひとつ」は「一つひとつ」、「ひとりひとり」は「一人ひとり」と、漢数字とひらがなを使って表記します。

慣用句であることから、まず漢数字とし、さらに読みやすくするために後半をひらがなで表記します。

 

【例文:一つひとつ、一人ひとり】

問題を一つひとつ確かめていこう。

国民の一人ひとりのために政治がある。

 

「一つ一つ」「一人一人」が絶対に悪いわけではないのですが、半分をひらがなで表記するほうが見た目もやさしく、こなれた印象です。

 

「1,000円」と「千円」はどちら?桁数の多い数字の表記

金額など、桁数の多い数字の表記も迷うところです。

 

共同通信社の記者ハンドブックには下記の記載があります。

 

【引用:「記者ハンドブック第13版」共同通信社】

1万以上の数字には万、億、兆などの単位語を付ける。

(例)123億567万円 10兆4500億円 15万人

単位語の十、百、千は原則として使わない。「千」はきりのいい数字に限り使う。ただし株価指数やエンジンの排気量、スポーツの競技名など定着した表記は「千」を使わない。

(例)(かっこ内のようにしない)

700人(×7百人)

9870円(×9千870円)

1万5千円 3千メートル級の山々 2000ccのセダン

(注)1000 ちょうどを表すときは、原則として単に「千個」「千本」などとし「1千」としない。「万、億、兆」などの単位語が付く場合は「5万1千人」「1千万ドル」などと「1」を入れる。

 

また、文化庁にも下記の記載があります。

 

【引用:文化庁】

大きな数は、3桁ごとにコンマで区切る

4桁以上の数は、「5,000」「62,500」のように3桁ごとにコンマで区切る。

兆・億・万の単位は漢字を使う

「5兆、100億、30万円」のような場合には、兆・億・万を漢字で書くが、千・百は、例えば「五千」「三百」としないで、「5,000」「300」と書く。

例) 101兆4,564億円  1億2,644万3,000人

これらの考え方から、一般的には下記の表記がされます。

  • 1,000までは算用数字
  • 万、億、兆などは漢数字

 

例文で見てみましょう。

 

【例文:1,000までの表記は算用数字】

1,000円の教科書と2,000円の教科書を買った。

こちらの車の排気量は1,000ccです。

陸上競技の1,000メートル走に参加することになった。

 

【例文:桁数の多い数字で、算用数字と漢数字を併用する】

総額は1万5,000円でした

中国の人口は13億9,723人です。

ロシアの面積は1,710km2です。

 

さて、ここで気になるのは、文化庁と記事ハンドブックの下記の違いです。

【抜粋】

記者ハンドブック:  千はきりのいい数字に限り使う

文化庁:      「五千」としないで「5,000」と書く。

 

つまり「いちまんごせん円」を、文化庁は「1万5,000円」、記者ハンドブックは「1万5千円」と表記すると決めているわけです。

表記ルールを決める際、どちらが絶対よい、ということはありません。しかし、混乱しないのは、やはり、千の単位はすべて算用数字(5,000)に統一する方法ではないでしょうか。

ちなみに、外務省のホームページでは、人口などは、「日本 1億2,652万9,100人」のように記載されています。[注2]

 

概数は基本的に漢数字で表記する

概数は、読み違いの恐れがある場合には漢数字を使います。

「2、300人」という記載より、「二、三百人」と書いたほうが読み手が理解しやすいのがわかります。

 

文化庁や共同通信社の資料でも下記の記載があります。

 

【引用:文化庁/数字の使い方】

概数は漢数字を使う

例)二十余人 数十人 十二、十三か所 四、五十人

(算用数字で統一したい場合は、20人余り、12〜13か所などと工夫する。)

 

【引用:共同通信社記者ハンドブック第13版】

漢数字使用の例

曖昧な数の表記で、洋数字では読み違いの恐れなどがある場合

(例)十四、五歳(×14、5歳)

二、三百人(×2、300人)

二十数人(×20数人)

数十人(×数10人)

二千数百円(×2千数百円)

三十余年(30余年)

五、六十万トン(×5、60万トン)

何百円(×何100年)

 

(例外)

「2、3人」「4、5千万円」「5、6億ドル」や「2万数千人」「12億 数千万円」

は洋数字でよい。

「30年余」「1年数カ月」は洋数字

概数や曖昧な数など、算用数字では読み間違いの恐れがある場合には漢数字を使います。

ただし、「2、3人」のように、読み間違える恐れがなく、算用数字のほうが読みやすいようであれば、算用数字が望ましいでしょう。

 

例文で見てみましょう。

 

【例文:概数の表記】

参加人数は、ざっと数十人だった。

ひどい転び方をして、五、六か所擦り傷ができた。

難しい課題なので二、三日かかると思う。

会場に着いたのは2、3人です。

その本とその本を買ったら総額で4、5千円になると思う。

 

状況に合わせ、上手に使い分けできるようになりましょう。

 

住所の番地は3丁目?三丁目?:地獄の一丁目

 

住所を書くときに、「3丁目」と「三丁目」のどちらなのか悩むことがありますね。

「固有名詞だから漢数字で三丁目では?」と思ってしまいそうですが、実は違います。

 

住所の「丁目」の表記は、自治体によって正式な表記が異なります。

たとえば、横浜市中区では、算用数字で丁目を示すエリアがあります。

気になる丁目は住民票で確認してみるとよいでしょう。

 

ただし、不動産登記に使われるのはすべて漢数字です。

そのため、住民票が「3丁目」と表記されていても、不動産登記では「三丁目」の場合もあり、注意が必要です。

 

ちなみに、「地獄のいっちょうめ」は、「地獄の一丁目」と書くようです。 こちらは、一つの意味のまとまりと考えられるためでしょう。

 

算用数字と漢数字の混じりはルールに基づいていればOK

 

文章中で、その言葉の性質上どうしても算用数字漢数字混在してしまうことがあります。

その場合は、無理をしてどちらかに合わせる必要はなく、そのまま表記して大丈夫です。

 

【引用:記者ハンドブック第十三版】

漢・洋数字の混在

性格の異なる数字の表記は漢数字と洋数字に分かれる場合もある

(例)一家4人

   板橋区立第三小6年3組

 

「一家」の一は語句の構成用語だから漢字、「4人」の「4」は数えられる単位であるため算用数字を使います。

このように、もしも算用数字と漢数字の混在が避けられない場合は、表記ルールの考え方を優先させて表記しましょう。

数字表記については、社内表記ルールに明記しておけば、文字校正の段階で混乱なく統一できます。

 

文字校正については、記事ブログ内に私がわかりやすく解説した記事があります。お一人で記事作成される方、編集しながら校正作業もされる方などのため、役立つ知識を載せています。ぜひ、参考にしてみてください↓

文字校正の方法!今すぐ役立つ5つのチェックポイントと手順

 

算用数字と漢数字の違い

算用数字と漢数字旧字の違い

算用数字と漢数字の使い分けを知ると、数字への興味が湧いてきます。

そこで、知っておくと面白い算用数字と漢数字の基礎知識をご紹介いたします。

 

算用数字は「0123456789」で表記し、アラビア数字とも呼ばれます。インドで考え出されてアラビアを通じて広まった数字です。

漢数字は「一二三四五六七八九十」と表記されます。中国から伝わりました。

 

算用数字:アラビア数字

算用数字とは、「0、1、2、3、4、5、6、7、8、9」のアラビア数字のことです。

 

算用数字は、アラビア数字とも呼ばれますが、実はアラブで生まれたわけではありません。

算用数字は、約2,300年前、インドで生まれました。まず、1〜9までの数字ができ、さらに約1,400年前に「0」が考え出されて使用されるようになりました。

 

さらにこのインドで生まれた数字がアラブに伝わり、そこからヨーロッパへと広まります。

その際、ヨーロッパの人々が「アラブから伝わった数字」という意味で「アラビア数字」と呼ぶようになりました。[注3]

 

漢数字

漢数字とは、「零、一、二、三、四、五、六、七、八、九、十」と、漢字で表される数字のことです。

漢数字は、中国から伝わりました。

中国の、数字を表す指文字や、甲骨文字に由来します。

 

漢数字の大字(旧字)

漢数字の一、二、三の代わりに、壱、弐、参が使われることがあります。

これらの数字を漢数字の大字(だいじ)と呼びます。

「壱、弐、参、肆、伍、陸、漆、捌、玖、拾」「佰(ひゃく)、阡(せん)、萬(まん)」と書きます。

重要書類や領収書、祝儀袋など、金額の書き換えを防ぐ目的に使われます。

 

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数字表記は社内ルールで統一しよう

記事作成における算用数字と漢数字の使い分けは、読みやすさを大切にしてください。

ご紹介した一般的なルールを参考に、自社やご自身の記事に合う表記ルールを設定するとよいでしょう。

記事内で算用数字と漢数字が混在するとしても、設定した表記ルールに基づいていれば、統一感もあり、読み手が混乱してしまうことはありません。

 

参考元

[注1]文化庁/文化審議会国語分科室/公用文の作成に関する成果物について[pdf]

[注2]外務省/世界いろいろ雑学ランキング/人口の多い国

[注3]光村教育図書/エデュサプリ/豆知識世界の数字を見てみよう

 

参考文献

「記者ハンドブック 第13版」共同通信社

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