終活とは、「人生の終わり方を考え、準備をする活動」のことです。
生前整理や身辺整理も終活の一環です。
終活をすることで、これまでの人生を振り返り、今の自分を知り、これからの人生をより豊かに有意義に過ごすことができます。
終活で何をやるのかの決まりはありません。
そのため、「何から始めるか」迷ってしまいがちです。
終活でやることについて、9つのリストにまとめました。
また、終活をするご本人のために、家族ができることもご紹介します。
終活の参考にしてみてください。
人生の歩みを整理するなら、自分史の作成をおすすめします。
目次
終活やることリスト9選
終活でやることリスト9選をご紹介します。
「何から始めるのか分からない」という方は、気が向くことから、一つひとつ始められるのがよいでしょう。
焦らずに、手をつけやすいこと、楽しいと感じることから始めてみましょう。
また、お一人で抱え込まずに、ご家族や周囲の人にご相談をしながら進めていくのがおすすめです。
人生の大切なことを共有する楽しみも生まれます。
ご相談できるご親族がいらっしゃらない場合でも、医療機関、行政機関など、サポートしてくれる場をどんどん頼りましょう。
のんびりと、楽しみながら、人生を整理していきましょう。
【終活やることリスト】
- 医療の希望を示す(人生会議)
- 片付け(断捨離など)
- エンディングノートの作成
- 資産を整理
- 遺言書の作成
- 葬儀やお墓の準備
- デジタルデータの整理
- 連絡先の共有
- 自分史の作成
医療の希望を示す(人生会議)
もしものときの医療やケアについて、望む方法を共有しておきましょう。
例えば、延命措置を望むかどうかは、元気なときから決めておく人が増えています。
厚生労働省も「人生会議」を推奨しています。[注1][注2]
「人生会議」とは、もしものときの医療やケアなどの希望について、信頼する人たちと話し合うことです。
いざ命の危険が迫ったときには、医療の希望を伝えることができない状態かもしれません。
その場合、ご家族など周囲の方は「ご本人ならこう望むであろう」ことを想像しながら、決定をしていくことになります。
そんなときに、ご本人の希望が共有されていれば、決断を迫られる周囲の方の助けになります。
次の項目については、話し合って希望を伝えておくとよいでしょう。
- 延命措置を望むか
- 臓器提供を望むか
- 介護の希望
[注1]厚生労働省/人生会議/「もしものとき」について話し合おう
[注2]厚生労働省/人生会議/あなたの終活だいじょうぶ?〜人生の最終段階の医療やケアについても考えておこう
片付け(断捨離など)
終活の一つとして、身の回りの品の整理をしておきましょう。
片付けをするメリットは次の3つです。
【片付けのメリット】
- ご家族の負担を軽減できる
- より快適に過ごせる
- 今後の人生が変わる
いざというときに、ご本人の持ち物が整理されていれば、ご家族の負担を減らすことができます。
葬儀やさまざまな手続きをするなか、遺品整理をすることの負担は、想像以上のものがあります。
そんなときに、予め、すっきりと片付けがされていたら、ご家族の大きな助けになります。
どこに何があるのか分かるようになっていたら、とてもありがたいでしょう。
また、断捨離をして、持ち物が少なくなれば、普段の掃除や片付けがとても楽になります。
どこに何をしまったのかすぐに分かれば、探しものにかける時間もなくなります。
これからの生活をより快適に過ごせるでしょう。
また、片付けをし、持ち物の取捨選択をしていくことは、これまでの人生を振り返っていくことになります。
忘れていた夢を思い出すこともあるでしょう。
中途半端に残されていた物を整理することで、本当にやりたいことが見えてくることもあります。
身辺をすっきりさせることは、これからの人生を変える機会になるでしょう。
エンディングノートの作成
エンディングノートとは、人生の終わりに備えて、必要な情報を整理して書き残しておくノートです。
「終活ノート」と呼ばれることもあります。
エンディングノートに書く内容に決まりはありません。
例えば、次のような内容を書いておくとよいでしょう。
【エンディングノートに書く内容】
- 自分の基本情報(氏名・生年月日・住所・連絡先)
- 財産について
- 葬儀やお墓について
- 医療や介護の希望
- 遺言書の有無
エンディングノートがあれば、ご家族は必要な情報をすぐに知ることができます。
いざというときに「必要な情報がまったく分からない…」と、ご家族が困ることがないように、情報を整理して書き記しておきましょう。
資産の整理
お金の終活も進めておきましょう。
具体的には、ご自分の資産を把握して、どこにどれだけあるのか分かるようにしておきます。
【資産の確認例】
資産項目 | 確認事項 |
現金 | ・金額
・保管場所 |
預貯金 | ・金融機関名
・口座番号 |
クレジットカード | ・カード会社と番号
・所有枚数 |
携帯電話 | ・契約会社 |
生命保険 | ・保険会社
・保険証券 |
株・投資信託 | ・証券会社
・保有資産 |
不動産 | ・所有数
・所有不動産の内容 |
会費サービス | ・契約数
・契約内容 ・それぞれの引き落とし額 |
遺言書の作成
遺言書とは、ご本人の死後に財産をどう分けるのかを意思表示した書面のことです。
遺言書には、次の3つの種類があります。
- 自筆証書遺言 : ご本人のみで作成可能(方式を誤ると無効の可能性あり)
- 公正証書遺言 : 公証人による作成が必要(費用はかかるが確実)
- 秘密証書遺言 : 公証人・証人が必要(方式を誤ると無効の可能性あり)
秘密証書遺言は、不備による無効など、確実性に欠けるため、あまり一般的ではありません。
どの方法をとるとしても、適切な方式でないと無効になってしまう可能性があります。
遺言書は、専門家に相談して作成しましょう。
【遺言書でできること】
- 特定の相続人に多めに遺産を相続させる
- 相続人ではない人(内縁の妻や孫など)に遺産を相続させる
- 遺産を寄付する
- 特定の相続人の相続権を消失させる
上記の他にも、子どもの認知や後見人の指定などもできます。
葬儀やお墓の準備
葬儀やお墓の準備も大切です。
お墓について生前に話し合っておけば、ご本人も周囲も納得できる方法に決定できます。
葬儀に呼ぶ人をリスト化してあれば、葬儀の手配をするご家族の助けになります。
最低限、次の準備をしておきましょう。
【葬儀】
- 参列者リストの作成
- 葬儀の規模の検討(家族だけで行う、など)
- 葬儀の形式の検討
葬儀に関しては、ご本人の希望が叶えられるよう、生前に決めておくとよいでしょう。
葬儀を予約しておくこともできます。
また、お墓に関しても検討しておきましょう。
【お墓】
- 先祖代々のお墓に入るのか
- 墓じまいするのか
- 希望の埋葬方法(樹木葬など)はあるか
お墓に対する希望もそれぞれです。
ご本人も周囲の方も納得できるお墓について検討しておきましょう。
デジタルデータの整理
デジタルデータを整理しておくことも大切です。
少なくとも、次の3つを行いましょう。
【デジタルデータの整理】
- デジタルデータの把握(画像、住所録、SNS、クラウド、webメールなど)
- 各種アカウントを書き出す(SNS、銀行、定額サービスなど)
- それぞれのアカウントのID・パスワードを分かるようにしておく
ご本人の亡き後に、IDやパスワードが分からずに、アカウントの閉鎖が行なえないこともあります。
そのようなことにならないように、アカウント・ID・パスワードは、整理してまとめておきましょう。
また、使っていないアカウントは削除しておくことをおすすめします。
連絡先の共有
いざというときの連絡先を整理して共有しておきましょう。
【いざというときに必要な連絡先】
緊急連絡先 | ・家族 ・友人 ・病院 ・介護施設 ・保険会社 |
仕事や学校の連絡先 | ・上司 ・同僚 ・先生 |
金融機関・クレジットカード会社の連絡先 | ・口座やクレジットカードの管理に必要な連絡先 |
携帯電話の契約会社の連絡先 | ・解約などに必要 |
死後に連絡をとってほしい方の連絡先 | ・葬儀などが終わった後にお知らせしたい方 |
かかりつけ医の連絡先 | ・普段から通院している場合 |
上記の連絡先リストを作成しておきましょう。
関係性を詳細に記しておきましょう。連絡をとるときの助けとなります。
関係性がわからないと、ご親族が連絡をとってみたものの、関係性を尋ねざるを得ない状況になってしまいます。
失礼にあたることがないようにするためにも、関係性なども記しておきましょう。
自分史の作成
終活の一貫として、自分史を作成するのもおすすめです。
自分史とは、ご自分がこれまで歩んできた過去を記録したものです。
自分史の作成をすることで、ご自分の人生を振り返り、記録として残すことができます。
自分史があれば、貴重な経験や知識を、子々孫々まで伝えられます。
それぞれの年代、それぞれの時代の変遷は、周囲の方には、興味深く受け止められることでしょう。
おそらく、思っていらっしゃる以上に、ご自分の経験がいかに貴重であるのかを感じられることになります。
ご自分だけが知っている、歩んできた道のり、出会った人たちを、ぜひ、記録として残してみましょう。
終活はいつから始める?:20代〜
終活をいつから始めればいいのかの決まりはありません。
20代・30代・40代・50代・60代にアンケートしたところ、実際に終活を実施している年代は「60代」という調査結果があります。[注3]
また、20代でも、終活の意向がある人は、40%台と、少なくありません。
どの年代の人であっても、いつ、何が起きるかはわかりません。
万が一に備えて、終活をして身辺を整えておくことは、毎日を安心して有意義に過ごすことに役立ちます。
[注3]楽天インサイト/終活に関する調査
おひとりさまの終活
ご親族がいらっしゃらない「おひとりさま」の方も多くいらっしゃいます。
「おひとりさまの終活はどうしたらいいのか」
そのような声も聞かれます。
おひとりさまの場合、終活では次の手配をしておくとよいでしょう。
- 死後事務委任契約
- 任意後見契約
死後事務委任契約とは、亡くなられた後の諸手続きを第三者に依頼しておける制度です。
葬儀・行政手続き・生活に関するものなど、信頼できる第三者にお願いしておけば安心です。
第三者は、ご友人や行政書士などの専門家などを選べます。
任意後見契約とは、認知症の場合などに備えて後見人を決めておく制度です。
十分な判断能力があるうちに、財産や生活の管理を任せられる人を選んでおけます。
終活で家族ができること
終活を行うご本人のために、ご家族ができることがあります。
主に、相談相手となることと、手続きや片付けのサポートです。
【終活で家族ができることの例】
- 片付けのお手伝い
- データ整理の相談相手
- 決定事項の相談相手
- 自分史の作成とプレゼント
さまざまな事柄をご本人だけで決めるのは難しいものです。
その都度、まずゆったりとお話しを聞き、ご本人の意思を尊重しながら話し合いを重ねましょう。
また、自分史を作成する場合には、ご家族が専門家に依頼して、ご本人にプレゼントすることもできます。
煩雑で苦労も多い終活ですが、「自分史のプレゼント」のような嬉しい事柄があれば、楽しく頑張れそうです。
長寿のお祝いなど、節目の年齢に「自分史」を作成してプレゼントするのもおすすめです。
長寿のお祝いについてはこちらの記事をご覧ください。↓
終活はできることから気軽に始めよう
終活の具体的な内容は人によりさまざまです。
ご紹介した「終活やることリスト」を参考に、手をつけやすいことから、気軽に始めてみましょう。
終活は、過去・現在・未来にとても良い影響をもたらします。
終活をとおして、人生を振り返り、現状を把握することは、これからの生活を豊かにしてくれます。
いつ何があっても安心していられることは、毎日の気持ちを軽やかにしてくれることでしょう。
日々の選択を助け、自分らしく行動していけることに気がつくはずです。
終活をあまり重く考えず、できることから気軽に始めてみましょう。