「おざなり」と「なおざり」は、とてもよく似ていますが、異なる意味の言葉です。
- 「おざなり」:物事をいいかげんに済ませること
- 「なおざり」:何もしないで放置すること
上記のように、なんらかの行動をするか・しないかというのが大きな違いです。
いいかげんであっても、何かしていれば「おざなり」
何もしないで放ったらかしであれば「なおざり」を使います。
こちらの記事では、「おざなり」と「なおざり」の違いをわかりやすく解説し、間違えないための覚え方をご紹介します。
語源や漢字などもご覧ください。
目次
「おざなり」と「なおざり」の違い:ポイントは「行動の有無」
「おざなり」と「なおざり」は混同されがちな言葉です。
「おざなり」と「なおざり」の違いのポイントは「行動の有無」にあります。
わかりやすく比較してみましょう。
- おざなり:一応やっているが、いいかげん
- なおざり:放置する(ほったらかし)
「おざなり」は行動していますが、「なおざり」は行動していません。
2つの違いを表で確認してみましょう。
【「おざなり」と「なおざり」】
| おざなり | なおざり | |
| 意味 | いいかげんにやる | 放置する |
| ポイント | 行動はしている | 行動していない |
| イメージ | その場しのぎ | ほったらかす |
| 漢字 | 御座なり | 等閑 |
| 語源 | 江戸の遊郭文化 | 中国語「等閑」 |
例文で確認してみましょう。
「勉強を おざなり にした」
→意味:「勉強をいいかげんに済ませた」
「勉強を なおざり にした」
→意味:「勉強をしないで放置した」
「顧客からのクレーム対応を おざなり にする」
→意味:「顧客からのクレームに対して、いいかげんな対応をする」
「顧客からのクレーム対応を なおざり にする」
→:意味:「顧客からのクレームに対して、何もしないで放置する」
上記のように、「おざなり」はいいかげんながらも行動しているのに対し、「なおざり」は放置したまま行動していない状態を示します。
違いはありますが、どちらも、責任感が欠如した不誠実な態度を示す言葉です。
間違えないための3つの覚え方:頭文字・語源・漢字
意味を理解しても、とっさの場面では混同してしまうかもしれません。
そこで、記憶に残りやすい覚え方を3つご紹介します。
- 頭文字で覚える
- 語源イメージで覚える
- 漢字で覚える
特に、「おざなり→おこなう」、「なおざり→なにもしない」という頭文字の覚え方は効果的です。
覚え方1. 頭文字で覚える
頭文字で覚えてみましょう。
【おざなり】
「お」こなう(行う)けれど、いいかげん
↓
「おざなり」と「おこなう(行う)」の「お」
【なおざり】
「な」にもしない
↓
「なおざり」と「ない」の「な」
覚え方2. 語源イメージで覚える
語源を利用して覚えましょう。
【おざなり】
お座敷でその場かぎりの対応
↓
その場しのぎのイメージ
【なおざり】
何もせず、そのまま去りぬ
↓
ほったらかしのイメージ
覚え方3. 漢字で覚える
漢字に結びつけて覚える方法もあります。
【おざなり】
「御座なり」
↓
御前では何かするフリ
【なおざり】
「等閑」
↓
閑(ひま)な人のように何もしない
「おざなり」とは
「おざなり」について、詳しく解説いたします。
「おざなり」の意味
「おざなり」の意味について確認してみましょう。
デジタル大辞泉には、次の記載があります。
おざ‐なり【御座なり】
[名・形動]
いいかげんに物事をすませること。
その場だけの間に合わせ。また、そのさま。「お座なりを言う」「お座なりな処置をする」
引用:デジタル大辞泉
物事に対して、誠意がなく、表面的な形だけを整えるというイメージです。
なんらかの対応はしているものの、内容が不十分でいいかげんな状態を指します。
「おざなり」の語源:お座敷での駆け引き
語源は、江戸時代の宴席や座敷を意味する「御座」に、状態を表す「なり」が結びついたものです。
もともとは、座敷の雰囲気に相応しい言動をとることを指していました。
しかし、次第に、「その場を丸く収めるためだけの、表面的な取り繕い」という意味で使われるようになりました。
つまり、「座敷の様子に合わせる」というニュアンスが、現代では、「物事を、その場しのぎでいいかげんに済ませること」という意味に変化しました。
ポイントなのは、全く何もしないのではなく、なんらかの行動はしているということです。
ただ、その行動が、誠意に欠ける場合、「おざなり」という言葉が使われます。
「おざなり」の漢字
「おざなり」は、漢字では「御座なり」と書きます。
「御座」は、江戸時代の宴席や座敷を意味する「御座」に由来します。
ただし、現代では、「御座なり」という表記は一般的ではありません。
新聞、公的な文書、ビジネスシーンで使われることはまれでしょう。
通常は、「おざなり」と平仮名で表記します。
「おざなり」の使い方:例文
「おざなり」は、その場をやり過ごすために、適当に物事を済ませる様子を表現する場合に使います。
「一応の対応はしたが、誠意が乏しく質が低い」という状況に適しているでしょう。
【例文】
急いでいたため、企画書がおざなりな内容になってしまった。
彼は、スマホに夢中で、私の話に対しておざなりな返事しかしない。
クレームに対し、おざなりな対応をしたため、怒りをかってしまった。
「なおざり」とは
「なおざり」について詳しく解説いたします。
「なおざり」は、何もしないまま放置するするニュアンスが強い言葉です。
「なおざり」の意味
「おざなり」の意味について確認してみましょう。
デジタル大辞泉には、次の記載があります。
なおざり〔なほざり〕【等閑】
[形動][文][ナリ]
1 いいかげんにしておくさま。本気でないさま。また、放置するさま。おろそか。「等閑な練習態度」「子供のしつけを等閑にする」2 ほどほどで、あっさりしているさま。
引用:デジタル大辞泉
物事をいいかげんに扱ったり、深く気に留めずに放っておいたりすることを意味します。
「おざなり」は何かしらの行動をしているのに対し、「なおざり」は何もせずに放置しているニュアンスが強い言葉です。
「なおざり」の語源:2つの由来がある
「なおざり」の語源には2つの説があります。
【日本語の由来】
「なおざり」は、副詞の「なお(猶)」と動詞「去る」の連用形「さり」が結びついた言葉です。
- なお(猶):「そのまま」「以前と同じ状態」
- さり(去り):「遠ざかる」「放っておく」
上記が組み合わさり、直面している問題に対して、そのまま放置する姿勢が語源となりました。
平安時代には、「当面のことだけで本格的ではない」「いい加減だ」といった意味で使われており、現代の「なすべきことをしない」というニュアンスにつながります。
【中国語の由来】
「なおざり」は「等閑」という漢字が当てられます
これは、中国語の「等閑 dengxien」に由来するという説があります。
等閑は、「軽んじる」という意味で使われていました。
日本語にもともとあった「なおざり」と、中国から伝わった「等閑」の意味が似ていたため、この漢字が当てられるようになったのでしょう。
「なおざり」の漢字
前述のように、「なおざり」の漢字表記は、「等閑」です。
- 等:「等しい」「ありふれた」「普通」
- 閑:「ひま」「重要ではない」「のどか」
中国語の「等閑(軽んじる)」と、日本語の「なおざり」の意味が似ていたため、この漢字で表記されるようになったのでしょう。
「等閑に付す(ないがしろにする)」という言い回しで、音読みの「とうかん」として使われることもあります。
平仮名で「なおざり」と表記するのが一般的です。
「なおざり」の使い方:例文
「なおざり」は、「なすべきことをせず、そのまま放置する」場合に使われます。
対象を軽んじたり、無視したりするニュアンスも含まれるでしょう。
【例文】
健康管理をなおざりにして、後悔している。
友人をなおざりにして、疎遠になってしまった。
庭の手入れをなおざりにしたら、草木が伸び放題になってしまった。
言い換え:表現を豊かに
「おざなり」と「なおざり」がややこしい場合には、適した言葉に言い換えましょう。
意図を的確に伝えられるようになります。
「おざなり」の言い換え・類義語
「おざなり」の言い換えに使える言葉をご紹介します。
「いい加減」:最も近い言葉。「おざなり」よりも幅広く使える。
「生半可(なまはんか)」: 中途半端で、知識や技術が不十分なさま。
「ぞんざい」:乱暴で投げやりな様子。丁寧さに欠けるニュアンスが強い。
「その場しのぎ」:将来を考えず、とりあえずその場だけを切り抜けようとすること。
「形式的」:中身よりも形式を重んじるさま。心がこもっていない。
「手抜き」: やるべき工程を意図的に省いて、楽をすること。
「なおざり」の言い換え・類義語
「なおざり」の言い換えに使える言葉をご紹介します。
「放置」:そのままにして放っておくこと。最も直接的な言い換え。
「軽視」:軽く見て重要視しないこと。
「無視」: 存在を認めないかのように振る舞うこと。
「等閑(とうかん)に付す」:問題として取り上げず、放っておくこと。硬い表現。
「閑却(かんきゃく)」:打ち捨てて顧みないこと。こちらも硬い表現。
「ほったらかし」: 何もせずにそのままにしておくこと。口語的な表現。
「おざなり」と「なおざり」の違いを覚えよう
「おざなり」と「なおざり」はとても似ている言葉です。
物事をおろそかにするニュアンスは共通しています。
大きな違いは次の2つです。
- 「おざなり」はいいかげんながら行動はしている
- 「なおざり」は何もしないで放置している
記事でご紹介した覚え方を参考に、2つの言葉を使い分けてみましょう。






