冗長表現(じょうちょうひょうげん)とは、文章に無駄が多くて長いことを指します。
- そのようにして考えてみると、修正することができると思われる。
上記は、間違いではありませんが、無駄が多くて長いため、意味がわかりにくいと感じる文章です。
このような文章は冗長表現といえます。無駄を省いてみましょう。
- そう考えると、修正できるでしょう。
無駄を省くとすっきりとわかりやすくなります。
「無駄が多い」とは、容赦ない評価で傷つきます。
うーん。
確かに自分が書いた文章を冗長と言われるのは不本意でしょう。
そんなことにならないように、コツをおさえてしまいましょう。
気が付かずに使ってしまいがちな冗長表現の4つのパターンと修正方法を、例文つきでわかりやすく解説いたします。
是非、チェックしてみてください。
目次
冗長表現とは
冗長表現とは、無駄が多くて長い文章を指します。
「あの論文は冗長だ」という場合、「あの論文は無駄が多くて長い」という意味です。あまり好ましくない表現なのがわかります。
普段書く文章でも、気が付かずに冗長表現になってしまうことはあります。
【例:冗長表現】
利用することができる(冗長)
↓改善
利用できる
少しでも無駄を削ったほうが、伝わりやすい文章になります。
冗長表現は避けるよう気を付けましょう。
文化審議会国語分科会の資料でも、「冗長さを避ける」と教示されています。[注1]
重複や回りくどい言い方をむやみに使わないようにと記されています。
【文化審議会国語分科会/新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)】
ウ 冗長さを避ける
(ア)表現の重複に留意する 意味が重複する表現(「重言 じゅうげん 」「重ね言葉」などとも。)は、むやみに用いないようにする。
例)諸先生方 → 諸先生、先生方
(イ)回りくどい言い方や不要な繰り返しはしない 慎重になったり、念を入れたりしようとすると回りくどい言葉遣いになりがちである。必要のない言葉は削り、すっきりとした表現にする。強調したい言葉であってもむやみに繰り返さない。
例)利用することができる → 利用できる
また、物事を並べて書くような場合には、意味を明確にする必要があるときを除いて、省略できる部分を削る。
例)教育費の増加と医療費の増加により → 教育費と医療費の増加により
[注1]文化庁/文化審議会国語分科会/新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)[pdf]
避けたい冗長表現4つのパターン
すっきりした文章を書くためには冗長表現を避けなければなりません。
避けたい冗長表現は次の4つのパターンです。
- 前置きが長い
- 重複がある
- 意味のない言葉が書いてある
- 余分なつなぎ言葉がある
それぞれ事例を挙げてご説明いたします。
事例1. 前置きが長い
あまりに長い前置きは、読み手の気持ちが離れてしまいます。
【例文:長過ぎる前置き】
皆さんは冗長表現という言葉をご存知でしょうか。「私はそのような考えを利用することができると思いました」という文章は、間違っているわけではありませんがなんだか何が言いたいのか伝わってこなくて読み返したくなってしまうこともあります。このように、文章に無駄が多くて長いことを冗長表現といいます。
上記の例文では前置きが長過ぎます。飽きて離脱する読み手もいるかもしれません。
いきなり主意に入る勇気を持ちましょう。
改善案
長過ぎる前置きを改善してみましょう。
【例文:長過ぎる前置き】
皆さんは冗長表現という言葉をご存知でしょうか。「私はそのような考えを利用することができると思いました」という文章は、間違っているわけではありませんがなんだか何が言いたいのか伝わってこなくて読み返したくなってしまうこともあります。このように、文章に無駄が多くて長いことを冗長表現といいます。
↓改善
【例文:改善後】
冗長表現とは、文章に無駄が多くて長いことを指します。
長過ぎる前置きを取り払うと、伝えるべきことがはっきり伝わります。
その後、具体的な説明を行ってもよいでしょう。
事例2. 重複がある
重複は避けるべき表現です。
重複とは、同じ意味を、言葉を変えて繰り返してしまうことです。
【重複の例】
諸先生方
各都道府県ごとに
第1日目
約 20 名くらい
違和感を感じる
一番最後、一番最初
全てを一任する
色が変色する
後で後悔する
同じ意味が繰り返されているため、冗長であると感じます。
改善案を確認しましょう。
改善案
前述の重複を改善して表にまとめました。
チェックしてみてください。
重複 | 改善案 |
諸先生方 | 諸先生
先生方 |
各都道府県ごとに | 各都道府県に
都道府県ごとに |
第1日目 | 第1日
1日目 |
約20名くらい | 約20名
20 名くらい |
違和感を感じる | 違和感を覚える
違和感がある |
一番最後、一番最初 | 最後
最初 |
全てを一任する | 一任する
全てを任せる |
色が変色する | 変色する
色が変わる |
後で後悔する | 後悔する
後で悔やむ |
重複について、詳しくご説明した記事があります。こちらもご覧ください!↓
事例3. 意味のない言葉が書いてある
意味のない言葉は、意外と多いものです。
【例文:意味のない言葉】
問題があるということになる
↓
問題がある
例文では、意味のない言葉を省くといかにすっきりするかわかります。
無意味な言葉は潔く取り去りましょう。
改善案
意味のない言葉を使った文章と、その改善案を確認しましょう。
意味のない言葉を使った文章 | 改善案 |
【という】
私は遅刻しないということを大切にしている。 そろそろ飽きずに取り組むということが難しくなってきた。 「耐久年数が知りたい」ということを聞かれる。 |
【「という」を省く】
私は遅刻しないことを大切にしている。 そろそろ飽きずに取り組むことが難しくなってきた。 「耐久年数が知りたい」と聞かれる。 |
【対して】
曖昧なことに対してはしっかり調べる必要がある。 彼女は礼儀に対して気を配っている 彼は自分の契約に対して責任を持っている。
|
【「対して」を省いた文章】
曖昧なことはしっかり調べる必要がある。 彼女は礼儀に気を配っている。 彼は自分の契約に責任を持っている。
|
【基本的に】
朝は基本的にコーヒーを飲みます。 基本的に電車通勤です。 基本的には業者に連絡して対処しましょう。 |
【「基本的に」を省いた文章】
朝はコーヒーを飲みます。 電車通勤です。 業者に連絡して対処しましょう。 |
【なぜなら】
私はその歌を聴いて心安らいだ。なぜなら、とても癒やされる旋律だからだ。 その工場では誰でも懸命に働く。なぜなら、報酬が高いからだ。
|
【「なぜなら」を省いた文章】
私はその歌を聞いて心安らいだ。とても癒やされる旋律だからだ。 その工場では誰でも懸命に働く。報酬が高いからだ
|
【の方】
ご署名の方をお願いします。 ここ数日、気温の方が不安定です。 |
【「の方」を省く】
ご署名をお願いします。 ここ数日、気温が不安定です。 |
【中で】
この制度を利用する中で、もっと〇〇ならと感じるようになった。 研修を受ける中で、もっと頑張りたいと思うようになった。
|
【「中で」を省く】
この制度を利用していた。そこで、〇〇ならと感じるようになった。 研修を受けた。もっと頑張りたいと思うようになった。
|
【になります】
ここでの判断が重要になります。 〇〇が必要になります。
|
【「になります」を省く】
ここでの判断が重要です。 〇〇が必要です。
|
【いく・くる】
スタイル維持のために努力してきた結果、こうなりました。 次に〇〇を加えていきます。 |
【「いく・くる」を省く】
スタイル維持のために努力した結果、こうなりました。 次に〇〇を加えます。 |
事例4. 余分なつなぎ言葉がある
余分な接続詞や副詞があると冗長に感じます。
- また
- そして
- したがって
- それに
- さらに
- そのため
- そこで など
必要に応じて接続詞や副詞をつなぎ言葉として使うことはあります。
しかし、そのつなぎ言葉がなくても意味がわかるようなら、それは余分な言葉です。
試験によく出る動詞を収録しました。だから、語彙力アップ間違いなしです。
↓
試験によく出る動詞を収録しました。語彙力アップ間違いなしです。
上記の「だから」は、省いても意味がわかります。
むしろ省いたほうがリズムよく読み手の頭の中でつながります。
接続詞がなくても意味がつながっていくなら、その接続詞は省いたほうがすっきりします。
改善案
余分な接続詞がある文章と、改善した文章を確認してみましょう。
余分な接続詞を使った文章 | 改善案 |
私の息子は17歳で、また、高校生です。 | 私の息子は17歳で高校生です。
私の息子は17歳です。高校生です。 |
私には兄が二人います。一人は医者です。そして、一人は薬剤師です。 | 私には兄が二人います。一人は医者でもう一人は薬剤師です。 |
このレストランの従業員はいつも親切なわけではありません。したがって、私はこのレストランで食事しようとは思いません。 | このレストランの従業員はいつも親切なわけではありません。私はこのレストランで食事しようとは思いません。 |
雪が降っていて、それに、とても寒かったので、私たちは家にいた。 | 雪が降ってとても寒かったので、私たちは家にいた。 |
私たちはテニスをする。さらに、映画館に行く。 | 私たちはテニスをして映画館に行く。 |
事故が起きました。そのため、1人負傷しました。 | 事故が起きました。1人負傷しました。 |
部屋が散らかっていました。そこで、一日中、部屋を掃除しました。 | 部屋が散らかっていたため、一日中、掃除しました。 |
簡潔に書いて伝える
文章は簡潔に書くほうが、伝えたい事柄がはっきりします。
婉曲に表現したい場合もあるでしょう。
それでも、勇気を持って削れる言葉は削ってみてください。歯切れよく言い切るほうが情報は確実に伝わります。