読点とは、文章の切れ目に打つ符号「、」のことです。
- 私は、ライターです。
↑赤で示した「、」が読点です。
読点の読み方は「とうてん」です。
「どくてん」と読むのは間違いです。
句点(くてん)と読点(とうてん)どっちがどっちかわかりません。
句点は文末に打つ「。」
読点は文章の切れ目に打つ「、」です。
今回は、読点(とうてん)の読み方、打ち方・使い方のルールをご説明します。
かぎかっこの前の読点を打たないことに気をつけましょう。
かぎかっことカンマの使い分けもご覧ください。
目次
読点(とうてん)とは
読点とは、文章の意味の切れ目に打つ記号「、」のことです。
読み方は「とうてん」です。
デジタル大辞泉に次の記載があります。
文の意味の切れ目を示したり、文を読みやすくしたりするために、文中に施す記号。
普通は「、」を使う。点。
[引用]小学館「デジタル大辞泉」
読点は、文章の意味の切れ目を示したり、文章を読みやすくしたりするために使います。
例文で確認してみましょう。
✕ 私が好きな果物はりんごオレンジバナナです。
↓
◯ 私が好きな果物は、りんご、オレンジ、バナナです。
読点が入ることで、文章が読みやすくなります。
読点の打ち方・使い方8つのルール
読点の打ち方・使い方のルールを8つご紹介します。
読点は文章を読みやすくするために打ちます。
具体的なルールを確認しましょう。
ルール1. 語句の列記には読点を打つ
語句を列記するときには読点を打ちます。
例文で確認してみましょう。
【例文:語句を列記する】
✕ 免疫力を上げるためには睡眠食事運動笑顔が大切です。
↓
◯ 免疫力を上げるためには、睡眠、食事、運動、笑顔が大切です。
✕ 明日の持ち物は筆記用具昼食現金です。
↓
◯ 明日の持ち物は、筆記用具、昼食、現金です。
3つ以上の語句を列記するときには、読点で区切って分かりやすくしましょう。
ルール2. 誤読を避けるために読点を打つ
読点の有無・位置によって意味が変わる文章があります。
意味を正しく伝えるために、正しい場所に読点を打ちましょう。
【例文:誤読を避ける】
✕ チャーチルのような人に感動を与えるスピーチがしたい。
↓
◯ チャーチルのような、人に感動を与えるスピーチがしたい。
◯ チャーチルのような人に、感動を与えるスピーチがしたい。
✕ その後妻に話しかけた。
↓
◯ その後、妻に話しかけた。
◯ その後妻に、話しかけた。
例文では、読点の位置よって意味が変わるのが分かります。
誤読を避けるためには、読点を適切な位置に打ちましょう。
ルール3. 長い主語の後に読点を打つ
長い主語の後にも読点を打ちます。
例文で確認してみましょう。
【例文:長い主語】
✕ 私たちがコツコツと積み上げてきた業績はやがて大きな違いを生むだろう。
↓
◯ 私たちがコツコツと積み上げてきた業績は、やがて大きな違いを生むだろう。
✕ この学校に入学して良かったことはいつも思いやりがある先生に相談できることです。
↓
◯ この学校に入学して良かったことは、いつも思いやりがある先生に相談できることです。
長い文章では、どこが主語なのか、わかりにくいことがあります。
読点を打つことで、主語をはっきりさせます。
ルール4. 長い目的語の後に読点を打つ
長い目的語の後にも読点を打ちます。
例文で確認してみましょう。
✕ 祖母が丹精込めて育てた庭のトマトの味を今も懐かしく思い出します。
↓
◯ 祖母が丹精込めて育てた庭のトマトの味を、今も懐かしく思い出します。
✕ 3年かけてようやく論文が完成した時の喜びを今も忘れません。
↓
◯ 3年かけてようやく論文が完成した時の喜びを、今も忘れません。
長い目的語の後に読点を打つと、「何を」が強調されてわかりやすくなります。
ルール5. 重文は読点を打つ
「主語+述語」が複数回登場する重文(じゅうぶん)では、読点を打ちます。
例文で確認してみましょう。
【例文:重文】
✕ 私が掃除機をかけ彼女が雑巾をかける。
↓
◯ 私が掃除機をかけ、彼女が雑巾をかける。
✕ 庭先には美しい花が咲き木の枝の上では小鳥が歌う。
↓
◯ 庭先には美しい花が咲き、木の枝の上では小鳥が歌う。
重文とは、「主語+述語」をそなえた単文を2つ以上含む文章のことです。
重文では、単文と単文の間に読点を打ちましょう。
ルール6. 接続詞の後には読点を打つ
接続詞の後に読点を打つとわかりやすい文章になります。
例文で確認してみましょう。
【例文:接続詞】
✕ しかしその契約は締結されなかった。
↓
◯ しかし、その契約は締結されなかった。
✕ ところでこちらの部署のルールを把握しているでしょうか。
↓
◯ ところで、こちらの部署のルールを把握しているでしょうか。
文章では、接続詞そのものが不要な場合も多くあります。
文脈に必要な接続詞だけを使うようにしましょう。
ルール7. 接続助詞の後には読点を打つ
接続助詞の後には読点を打ちます。
接続助詞には次の働きがあります。
【読点を必要とする接続助詞】
接続助詞 | 例文 |
仮定の順接:ば・と | 晴れていれば、散歩に行こう。 |
仮定の逆説:ても | 晴れていても、家にいたい。 |
確定の順接:ので・から・ば・と | 晴れていたので、たくさん洗濯をした。 |
確定の逆説:けれど・が・のに | 晴れていたけれど、家にいた。 |
並立: し・たり | りんごも食べたし、ぶどうも食べた。 |
いずれにしても、接続助詞の後は大きな意味の切れ目になるため、読点を打ちます。
例文で確認してみましょう。
【例文:接続助詞】
✕ 洗濯機などの家電製品の普及により家事の負担は大幅に減った。
↓
◯ 洗濯機などの家電製品の普及により、家事の負担は大幅に減った。
✕ ひっきりなしにクラクションの音がするため路上演奏を中止した。
↓
◯ ひっきりなりにクラクションの音がするため、路上演奏を中止した。
✕ 職場の状況が明確になっていないなら有効な解決策をアドバイスできません。
↓
◯ 職場の状況が明確になっていないなら、有効な解決策をアドバイスできません。
✕ ご説明した歯磨きの方法を実践すれば虫歯になる可能性を格段に減らせます。
↓
◯ ご説明した歯磨きの方法を実践すれば、虫歯になる可能性を格段に減らせます。
✕ 時間とコストはかかるが導入する価値はある。
↓
◯ 時間とコストはかかるが、導入する価値はある。
逆説の文章では、意味が逆の流れになる前に読点を打つと、読みやすくなります。
ルール8. 連続する修飾語の間に読点を打つ
修飾語が複数ある場合、連続する修飾語の間に読点を打ちます。
例文で確認してみましょう。
【例文:連続する修飾語】
弊社が作成したスピリチュアルサイト用の記事です。
↓
弊社が作成した、スピリチュアルサイト用の記事です。
修飾語が連続していると、誤読も発生しがちです。
意味の切れ目を考えて、適切な位置に読点を打ちましょう。
かぎかっこの前には読点を打たない
かぎかっこの前の助詞や動詞の後には原則として読点を打つ必要はありません。
例文で確認してみましょう。
【例文:かぎかっこ】
✕ 部長は7日の会議で、「次回確認する」と述べた。
↓
◯ 部長は7日の会議で「次回確認する」と述べた。
✕ 俳優は記者を集めて会見し、「申し訳ありません」と謝罪した。
↓
◯ 俳優は記者を集めて会見し「申し訳ありません」と謝罪した。
また、連続するかぎかっこの前後には読点は必要ありません。
例文で確認してみましょう。
【例文:連続するかぎかっこ】
✕ 免疫力を高める秘訣は「食事」、「睡眠」、「運動」、にあります。
↓
◯ 免疫力を高める秘訣は「食事」「睡眠」「運動」にあります。
読点とカンマの使い分け
一般的な文章作成では、読点「、」とカンマ「,」は次のように使い分けます。
- 読点 : 日本語の文章
- カンマ: 英語の文章
英語の文章の場合、日本語の読点にあたるのが、カンマ「,」です。
【例文:読点とカンマ】
私は、りんご、オレンジ、バナナが好きです。
I like apples, oranges, bananas.
公用文での読点とカンマの使い分け
一般的な日本語の文章では句読点は「、」と「。」を使います。
ただし、公用文では、読点「、」ではなくカンマ「,」をを使ってもよいという指針もあります。[注1]
(1)句読点や括弧の使い方 ア 句点には「。」(マル)読点には「、」(テン)を用いることを原則とする。
横書きでは、 読点に「,」(コンマ)を用いてもよい。ただし、一つの文書内でどちらかに統一する。
[引用]文化庁/文化審議会/公用文作成の考え方(建議)
引用文にもあるように、カンマ「,」を使う場合には、文書内で統一するようにします。
[注1]文化庁/文化審議会/公用文作成の考え方(建議)[pdf]
読点の基本的な使い方を知っておこう
読点(とうてん)の基本的なルールをご紹介しました。
適切に読点を打つことで、文章の切れ目が分かり、読みやすくなります。
また、読点には、誤読を避ける役割もあります。
スムーズに意味が分かる文章を作成するために、読点を適切に使いましょう。
ただし、ルールはあくまで原則です。
臨機応変に対応しましょう。
参考:共同通信社「記者ハンドブック第13版」株式会社共同通信社
:阿部紘久「文章力を伸ばす」株式会社日本実業出版社