「になります」は敬語ではない!正しい用法を例文で解説

「になります」は敬語ではない

「300円になります」はバイト敬語とも呼ばれる誤った表現です。

「300円です」あるいは「300円でございます」が正しい言い方です。

 

文章作成の場でも、「必要になります」を正しい表現と誤解されている方は少なくありません。

「必要です」をあえて「必要になります」と書くのは、間違いであるのに加え、持ってまわった印象を与えてしまいます。

 

こちらの記事では、誤用が広まる「になります」について、なぜダメなのか、その意味、使ってよい場面、正しい言い換えなどを解説いたします。

 

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「になります」を丁寧な言い方と感じるのは錯覚

おかしいバイト敬語の「になります」

 

話し言葉の「になります」は、バイト敬語とも呼ばれ、コンビニや飲食店でよく耳にします。

 

【例文:「になります」を使用した飲食店での間違い表現】

「こちらがコーヒーで、こちらがハーブティーになります

「3,500円になります

「お会計はあちらになります

「レシートになります

 

おそらく、「コーヒーです」と言うよりも「コーヒーになります」と言うほうが丁寧であると感じる方が多く、誤用が広まってしまったのでしょう。

 

「コーヒーになります」は間違った表現です。

丁寧に表現するのであれば、下記が正解です。

 

  • 「コーヒーでございます」

 

飲食店や会話のなかの話し言葉であれば、「コーヒーになります」も「バイト敬語だから」と許されるかもしれません。しかし、ビジネスの場ではそのようなわけにはいきません。

 

【例文:「になります」を使用したビジネスの場での間違い表現】

「こちらが作成した資料になります。どうぞ、ご覧ください」

 

例文の表現では、「言葉を知らない人」と心の中で評価されてしまうかもしれません。

あえて指摘されることもないため、間違いを知ることがないまま誤用を続けてしまうのです。

そんなふうに、知らずに恥をかいている状況は避けたいものです。

 

例文を正しく言い換えるのであれば、下記が正解です。

 

  • 「こちらが作成した資料でございます。どうぞ、ご覧ください」

 

それでは、「コーヒーになります」「資料になります」がなぜダメなのか、見ていきましょう。

 

「になります」はなぜダメなのか:正しい意味

「になります」は変化した結果を表す

「になります」がなぜダメなのかを知るためには、まず、「になります」の正しい意味を理解しましょう。

「になります」は「なる」の丁寧な表現です。

 

【「なる」の意味】

  1. 物事ができ上がる。実現する。成就する。
  2. 今までと違った状態・形に変わる。
  3. ア.ある時分・時期などに至る。イ.ある数値に達する。
  4. ある働きをする。作用する。
  5. 許すことができる。許して、よいとする。
  6. その人によってつくられる。
  7. 全体がそれによって構成さえる。
  8. 他からその恩恵を受ける。

[注1]

「なる」には上記の意味があります。

 

多くの場合、「になります」と使用して適切なのは、「さなぎが蝶になります」など、ある状態から変化して別の状態になる場合です。

つまり、「になります」は、何かが変化した結果を表す場合に使うのが正しいのです。

 

「になります」の正しい意味がわかると、「コーヒーになります」がなぜダメなのか理解できます。

テーブルにコーヒーを運んでお出しする場合、目の前の「コーヒー」は変化するわけではありません。

「変化してその状態になる」わけではないコーヒーを、「コーヒーになります」と言うのはおかしな表現なのです。

もしも、その場で水がコーヒーに変わるのであれば、「水がコーヒーになります」と言えますが、そういう状況は考えづらいでしょう…。

 

[注1]参考元:デジタル大辞泉

 

誤用の「になります」を正しく言い換える

「〜になります」の間違い例と正しい例

 

それでは、「になります」を使った間違い表現を正しく言い換えていきましょう。

 

「コーヒーになります」の場合、すっきりと「コーヒーです」と言うか、丁寧に「コーヒーでございます」と言うのが適切です。

 

【例文:コーヒーを出す場合の間違った言い方と正しい言い方】

間違い:「こちらがコーヒーになります

正しい:「こちらがコーヒーです

正しい:「こちらがコーヒーでございます

 

同じことは「こちらが資料になります」にも言えます。

手品のようにその場で白紙が資料に変化するのであれば、「白紙が資料になります」と言えますが、この場合も、そういう状況でないのはわかりますね。

すっきり言うなら「こちらが資料です」、丁寧に言うなら「こちらが資料でございます」が適切な表現です。

 

【例文:資料を提示する場合の間違った言い方と正しい言い方】

間違い:「こちらが資料になります

正しい「こちらが資料です

正しい「こちらが資料でございます

 

同じように、劇場の案内などでも「になります」を使った間違いが聞かれます。

 

【例文:劇場などでよくある「になります」の間違いと正しい言い方】

間違い:「こちらは満席になります

正しい:「こちらは満席です

正しい:「こちらは満席でございます

 

ほかにも、「になります」を使った間違い例と正しい例を表で見てみましょう。

 

【「〜になります」の間違い例と正しい例】

間違い例 正しい例
ビルの2階になります ビルの2階です。(でございます
お一人様1枚のみの販売になります お一人様1枚のみで販売しています
会場はあちらになります 会場はあちらです。(でございます
データはこちらになります データはこちらです。(でございます

 

理屈ではわかっていても、つい口走ってしまったり、うっかり書いてしまったりしそうです。

「になります」は、読み手にとっては煩わしい表現でもあります。

「になります」を使ってしまいそうになったら一呼吸おいて、適切かどうか考えてみましょう。

 

「必要になります」は「必要です」と書こう

記事作成の場で、「必要です」と書くべきところを「必要になります」と書かれているのをよく目にします。

おそらく、「必要になります」という書き方が、なんとなく丁寧な表現のように感じるためかもしれません。また、「必要です」と言い切ることに無意識のためらいがあるのかもしれませんね。

「必要になります」と書くのが習慣になっている方は、すぐにやめ、「必要です」に切り替えましょう。

 

【例文:必要です】

✕ ウイルス感染を防ぐためには マスクが 必要になります

◯ ウイルス感染を防ぐためには マスクが 必要です

 

✕ スペースを削減することが必要になります

◯ スペース削減が 必要です

 

✕ 事前に 確認することが 必要になります

◯ 事前に 確認することが 必要です

 

「必要です」のほうが、スッキリと言いたいことが伝わるのがわかりますね。

日頃から、正しく伝わりやすい書き方を選択しましょう。

 

話し言葉で「になります」を使っているため、文章作成の場でも使用してしまう習慣がある方もいるかもしれません。

 

「になります」のほかにも、文章での使用を避けたい「話し言葉」について、記事ブログ内で私がわかりやすく解説しています。つい使ってしまいがちな話し言葉を6つのタイプに分類し、わかりやすくお伝えしています。職業ライターの方に必要な知識をまとめてあります。こちらも、ぜひ、ご覧ください↓

「話し言葉」と「書き言葉」の違い!6つのタイプでわかりやすく解説

 

「になります」の正しい使い方

「になります」の正しい用法

 

  • 明日は雨天により、遠足は中止になります。

上記は「になります」の正しい使い方です。

 

本来は行われるはずだった遠足が、雨天で中止という結果に変更になったため、この場合に「になります」を使うのは適切です。

「なる」の意味である「今までと違った状態に変わる」に当てはまるためです。

デジタル大辞泉には、「なる」について次の記載があります。[注1]

【「なる」の意味】

  1. 物事ができ上がる。実現する。成就する。
  2. 今までと違った状態・形に変わる
  3. ア.ある時分・時期などに至る。イ.ある数値に達する。
  4. ある働きをする。作用する。
  5. 許すことができる。許して、よいとする。
  6. その人によってつくられる。
  7. 全体がそれによって構成さえる。
  8. 他からその恩恵を受ける。

 

「になります」の正しい使い方を例文で見ていきましょう。

 

【例文:「になります」の正しい使い方】

次の試合で 優勝すれば 3連覇になります

→優勝すれば3連覇という結果が実現する

(1. 物事が実現する)

 

明日は 雨天により、遠足は 中止になります

→遠足が変更して中止という結果になった

(2. 今までと違った状態・形に変わる)

 

結婚して 20年になります

→結婚してからの年月が20年に至る

(3. アある時分・時期に至る)

 

つなげると 5メートルになります

→つなげた結果がその5メートルに達する

(3. イある数値に達する)

 

息子は 来年 10歳になります

→年齢がその状態に達する

(3. イある数値に達する)

 

不用意な 発言が 災いの元になる

→不用意な発言が災いの元となる働きをする

(4. ある働きをする。)

 

先生の お世話になります

→先生から恩恵を受けることを表現

(8. 他から恩恵を受ける)

 

「になります」が正しい場面もあります。

すべてを把握して判断しながら書くのは難しいですが、「何かが何かに変化する場合に『になります』は使える」とイメージしておきましょう。

そのイメージがあれば、「サナギが蝶になります」は正しい使い方とわかります。

反対に、変化するわけではない金額を表すときに「500円になります」を使うのはおかしいのもわかるでしょう。

 

[注1]参考元:デジタル大辞泉

 

「になります」と「となります」の違い

「になります」と同じ使われ方をする表現に「となります」があります。

2つに違いがあるのかも気になりますね。

 

「になります」と「となります」は基本的に同じ意味で使われる

「になります」と「となります」は、基本的に同じ意味で使われます。

おもに、何かが何かに変化した結果を表す場合に使います。

 

「となります」のほうがかしこまったイメージ

若干の違いがあるとすれば、「となります」のほうが、「になります」よりもかしこまった印象があります。

 

  • 来年で 創業20年 になります
  • 来年で 創業20年 となります

 

「になります」のほうがやや柔らかく、「となります」のほうがフォーマルな印象です。

そのため、「となります」のほうが書き言葉に向いているという考え方もあります。

 

「となります」は意外な結果のニュアンスもある

「となります」には、変化した結果が意外であるニュアンスもあります。

 

  • 明日は臨時休業となります

 

突然の休業の張り紙などでは、「となります」を使うのがよいでしょう。

 

「になりますでしょうか」は二重敬語で間違い

「になりますでしょうか」はおかしい用法

「ご到着は何時になりますでしょうか」は、間違いです。

「ます」と「です」が重なった二重敬語です。丁寧に言おうとするあまり、この表現になってしまわないよう注意しましょう。

 

「ご到着は何時のご予定ですか」「ご到着は何時でしょうか」が正しい表現です。

 

「お世話になります」の「になります」は正しい表現

「お世話になります」の「になります」は、正しい表現です。

何かが変化しているわけではありませんが、「なる」の意味にある「他から恩恵を受ける」にあてはまります。

 

同様に、「ごちそうになります」「ご厄介になります」も正しい表現です。

 

取材記事代行屋取材記事代行屋

シンプルで正しい表現を目指そう

丁寧な表現と錯覚されている「になります」の間違いと正しい使い方についてご紹介いたしました。

記事作成をお仕事とされる方でも「必要になります」を間違えたまま使い続けているのを目にします。わかりやすく目立ってしまいがちなミスです。すぐにでも「必要です」に切り替えましょう。

不要な「〜になります」は、間違いであるだけでなく、まわりくどい印象もあります。

シンプルで伝わる文章のため、常に簡潔な表現を目指しましょう。

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