句読点は文章の内容より重要ではない、と考える方は少なくないでしょう。
しかし、句読点は文章において大きな影響を持っています。出版社は、タイトルに「句読点」と入れたり、句読点の奥深さを伝えたりする本を多数発行しているほどです。
なぜなら、句読点が適切に打たれていない文章は非常に読みにくく、読者にストレスを与え、内容理解の妨げとなるからです。
句読点の打ち方次第で伝わる文章も伝わらない文章になってしまう可能性があるのです。
こちらでご紹介する句読点のルールを知っておけば、読者にスラスラと読み進めてもらえる、クオリティーの高い文章が仕上げられるでしょう。

目次
句読点とは?
句読点は「くとうてん」と読みます。「くどくてん」と間違えやすいので注意してくださいね。
文の切れ目や文中の意味の切れ目などに添える符号。広義には、句点「。」と読点「、」のほか、感嘆符「!」、疑問符「?」、中黒(なかぐろ)「・」、コンマ(,)、括弧なども含めていうこともある。
参考元:デジタル大辞泉(コトバンクより)
句点は文末に打つものですが、読点は正しいルールを知らないまま無意識に打っている人も多いのではないでしょうか。
「なんとなく文章が長くなってきたから」
「ひらがながずっと続いているから、読みやすくするために」
「項目が連続しているから」
句読点を打つことはマナー違反だった?
昔は句読点がなく、文章の読み方に不慣れな人でも理解できるように練習用として句読点が誕生したそうです。
そもそも日本で句読点が使われ始めたのは明治20〜30年代で、明治39年に文科省で示された「句読法案(句読点法案)」で初めて句読点のルールが制定されました。
参考元:FNN PRIME
当時、句読点を打つことは文章を読みやすくする気遣いやマナーと感じる人が多い中、「わざわざ読みやすい文章にしてやっている」という「上から目線」になるので失礼だという考え方の人もいたそうです。
しかし、今では句読点を打つのが一般的ですし、WEB上コンテンツの場合、読みやすいことは最重要ポイントの1つです。
間違った句読点の打ち方は記事の内容が正しく伝わらないことや、誤解を招くケースもあります。ぜひこの記事で正しい句読点の打ち方をマスターしてくださいね。
1.句点は括弧の注釈の後に打つ

文章の最後に注釈を入れる括弧がある場合は、句点は一番最後に打つというルールがあります。
そう打たない場合、次の文章が来た時に情報が混乱してしまいます。
【例文】
書類の提出は金曜日までです。(営業課は土曜日まで)必要事項はすべて記入してください。
↓
書類の提出は金曜日までです(営業課は土曜日まで)。必要事項はすべて記入してください。
後者のように句点を打てば、注釈の情報は書類の提出を指すのだとわかります。句点の位置は終点を示すだけではなく、正確な情報を伝えるためにも使われるのです。
ただし、括弧の中が文章全体の注釈や筆者名、クレジットなどの場合には、カッコの前に句点をつけます。
【例文】
彼らは良質で安価な素材探しを諦めなかったことで成功をおさめた。(商品開発部 佐藤葵)
「 」でくくられている段落末には句点を打たない
学校の国語や作文では「 」でくくられた文章の最後には、句点を打つように教わったのではないでしょうか。しかし、出版業界やWeb上の記事作成では「 」でくくられた段落末文章の末尾には句点を打たないのが一般的です。
【例文】
「こんにちは。今日はよろしくお願いいたします。」
↓
「こんにちは。今日はよろしくお願いいたします」
ただし、上の例文がもしも段落中にあった場合には、カギ括弧の後ろに句点を打ちます。
【例文】
「こんにちは。今日はよろしくお願いいたします」。Aさんは私たちを見かけると声をかけた。
では文末が会話文で終わり、注釈の括弧が続く場合はどうでしょう?
【例文】
「安全安心を提供し、社会に貢献したい」(ABCセキュリティー・白川社長)。
↓
「安全安心を提供し、社会に貢献したい」(ABCセキュリティー・白川社長)
このように注釈の括弧の後に句点は打ちません。
感嘆符・疑問符の後に句点は打たない
「!」や「?」のような感嘆符や疑問符の後には句点を打ちません。感嘆符や疑問符の後に文章を続ける場合は、後に続く文章の前に全角スペースを挿入するのを忘れないでくださいね。
【例文】
いつまでも落ち込むな! 前を向かなきゃ先へ進めないだろう。
このペンはあなたのものですか? 会議室のテーブル下に落ちていましたよ。
感嘆符や疑問符は、感情を伝えて文章を活き活きとした印象に変えてくれます。
そんな感嘆符や疑問符について、記事ブログ内にわかりやすくご説明した記事があります。「上手な文章なのになんだか単調だな…」そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ、こちらもご覧ください↓
2.主語が長い場合や重文には読点を打って情報を整理する

読点は、意味のひと固まりを作るとき、接続詞や接続助詞の後、3つ以上の並列、読み誤り防止の際に打ちます。
一文が長めの文章でも、読点を用いれば相手が読みやすくなりますよ。情報のひと固まりに読点を打ってみましょう。
また、一文に「主語+述語」が複数回登場する重文にも打っても効果的です。1つの「主語+述語」が終わり次第、読点を打つようにしましょう。
【例文】
彼女はとても疲れていたが家に帰ったらすぐに明日の準備をした。
↓
彼女はとても疲れていたが、家に帰ったらすぐに明日の準備をした。私は駆け出しだが彼はすでに経験を積んでいる。
↓
私は駆け出しだが、彼はすでに経験を積んでいる。
例のように意味のひと固まりを作れば、文中の情報が整理されます。ただし、読点の打ち過ぎには注意しなければなりません。
彼女は、とても疲れていたが、家に帰ったら、すぐに、明日の準備をした。
これでは文章がくどくなって読みにくくなります。また、一文にも関わらずスムーズに読めません。
ひと固まりを作りつつも、短く切りすぎないことがポイントです。
括弧の前後には読点を打たない
カギ括弧「 」の前後には読点を打つ必要がありません。
【例文】
今後の予定については、「Aさんに確認します」と述べた。
↓
今後の予定については「Aさんに確認します」と述べた。
3.接続詞や接続助詞の後に読点を打つ
読みやすくするためには、読点を接続詞や接続助詞の後に打つと良いでしょう。
【例文】
しかし彼女の手紙は届いていなかった。
↓
しかし、彼女の手紙は届いていなかった。もう少し頑張っていれば80点は取れただろう。
↓
もう少し頑張っていれば、80点は取れただろう。
読点があれば、接続詞が表す内容が強調されて抑揚が生まれます。接続助詞の後に打てばリズムが出来て、声に出しても読みやすくなります。
また、接続詞のあとに平仮名が続く場合にも読点は有効です。一旦区切ることで、より読みやすくなります。
【例文】
しかしそれはいつもの席ではなかった。
↓
しかし、それはいつもの席ではなかった。
平仮名が連続すると、前者のように読みづらい文章になります。読点をこのように効果的に用いれば、それを防げますよ。
ただし、接続詞でも「なお」や「また」には必ずしも読点を打つ必要はありません。「なお」や「また」を多用した文章は、稚拙な印象を与えかねないので注意してくださいね。
【例文】
なお、午前中の休憩はありません。
↓
なお午前中の休憩はありません。
漢字やひらがなが連続している時には読点を打つ

文章中に漢字とひらがなが連続する場合も、読点を打ったほうが読みやすくなります。
【例文】
ここではきものを脱いでください。
↓
ここで、はきものを脱いでください。
よく見かける例文ですが、読点がないと脱ぐのが「きもの」なのか「はきもの」なのか分かりません。
【例文】
その後妻に話しかけた。
↓
その後、妻に話しかけた。
読点を打つ・打たないで、話しかける相手が、どこかの後妻なのか、自分の妻なのかが変わってしまいます。適切な箇所に読点を打つのは、わかりやすい文章にするためにとても重要です。
4.読点を打って並列すればスッキリと読みやすくなる
文中で並列が3つ以上出てくるときには、項目ごとに読点を打ちましょう。項目を並べる助詞の「と」や「や」が続くとくどくなりますが、読点を使えばスッキリします。
書く際には、最後の項目の後に読点は必要ありません。
【例文】
記事を仕上げる際に大切なのは、情報収集と構成と校正作業だ。
↓
記事を仕上げる際に大切なのは、情報収集、構成、校正作業だ。記事を仕上げる際に大切なのは、情報収集と構成、校正作業だ。
並列助詞が続くと稚拙な印象を与えかねません。読みやすくするためには、読点を打ってリズムを作りましょう。
また、最後の例文のように、はじめに接続助詞を入れた後に読点を打つのもおすすめです。
5.読点は読み誤り防止の為に使う
読点は、文章の読み誤りを防ぐためにも使われます。打たない場合、文の意味が2通りに取れることがあるので注意が必要です。
【例文】
私は慌てて帰った彼を追いかけた。
↓
私は慌てて、帰った彼を追いかけた。私は、慌てて帰った彼を追いかけた。
読点を打てば、慌てているのが彼なのか私なのかがわかりますね。書き手に正確な情報を伝えるためには、読点を使って「誰が何を」という修飾をはっきりさせましょう。
例外として強調の読点もある
【例文】
私は彼女に招待された。
私は、彼女に招待された。
上の文では、私は彼女に招待されたという単なる事実を述べています。一方で下の文では、私以外は誰に招待されたかしらないが、“私は”彼女に招待されたと自分のことを強調しています。つまり、“私”は他とは違う存在であり、自分に焦点をあてた言い方になります。
このように今までご紹介したルールに沿っていなくても、意味を強調するために読点を打つケースもあります。一般的なコンテンツの作成に使われる可能性はあまり高くないでしょうが、文章表現の1つとして知っておくとよいですよ。
読点などの強調記号を上手に使うことで、文章に読みやすさは格段にアップします!
そんな強調記号について、記事ブログ内にわかりやすくご説明した記事があります。「一目でわかる文章を作成して、多くの方に読んでもらいたい」そんな方は、ぜひ、こちらもご覧になってください↓
句読点を打つ位置に気をつければ正確に情報を伝えられる
句読点を適当に打ってしまっては、書き手と読者の間に大きな相違が生まれかねません。
句読点を打つルールを守って言葉を紡いでいけば、効果的かつ正確に情報を伝えられるようになります。
コンテンツを制作する目的を達成できるでしょう。