「項番」の意味は、文書のなかで項目に割り当てられた番号のことです。
項番は、箇条書きや段落分けの冒頭に記載されます。箇条書きにして項番を活用した文章は読みやすく、必要な情報がパッと目に入ります。
比べてみしょう。
健康のためには食事、睡眠、運動が大切です。
↓
健康のために大切なのは次の3つです。
- 食事
- 睡眠
- 運動
箇条書きにして項番を振るほうが、必要な情報がスムーズに伝わります。
でも、この「項番の振り方」に悩んでしまいます。
数字は全角なのか半角なのか、そもそも数字でなければならないのか、など…
何か決まりはあるのでしょうか?
「項番の振り方」については、公用文の場合は指針があります。
しかし、記事作成では、「項番の振り方」に絶対に守らなければならない一般的なルールはありません。
項番の振り方は、クライアント様の仕様や社内表記ルールがあれば、そちらに従います。
今回は、「項番の振り方」について、分かりやすく解説いたします。箇条書きを活用して読みやすい文章を作成しましょう。
目次
【項番の振り方】仕様や表記ルールなどを基準にする
項番とは、文章のなかで、項目に割り振られた番号のことです。「項番の振り方」には、一般的なルールはありません。
「1.2.3」「(ア)(イ)(ウ)」「・・・」などがあります。
どの項番を振ったらいいのか迷うときがあります。
最優先するべきはクライアント様の仕様です。
もしクライアント様のご希望がないのであれば、社内表記ルールに沿うのがよいでしょう。
それも任されているなら、ユーザー目線で読みやすい記事にすることを指針としましょう。
記事作成における項目番号については、一般的に明確なルールはないため、次の優先順位で考えるのがよいでしょう。
- クライアント様の仕様
- 社内表記ルール
- ユーザーに伝わりやすいこと
例えば、クライアント様の仕様が、「箇条書きには番号を振る」ことであれば、それに沿って記事を作成しましょう。
仕様に、並列であれば「・」(中黒)にする指定があれば、やはりそれに沿って記事を作成しましょう。
もし、クライアント様の仕様に項目番号についての記載がなければ、社内表記ルールに従います。
特にそうした指定もなく、お任せいただく場合には、記事を読むユーザーが情報をひと目で分かるよう、読み手発想を指針とするのがよいでしょう。
記号や全角半角など、記事内で用法が統一されていることも大切です。
数字は全角か半角か?
項番の数字が全角の記事と半角の記事を見かけます。
どちらが正解ですか?
どちらが正解ということはありません。
項番の数字は、全角にすべきが半角にすべきかという一般的なルールはありません。
ただし、仕様や表記ルールで、「数字表記は半角」と指定されているのであれば、項目番号も半角にするのがよいでしょう。
文化庁の「公用文の書き方資料集」でも、数字に関して全角と半角はどちらにすべきという記載はありません。[注1]
そもそも数字は振らない?
箇条書きの冒頭で、そもそも数字は振らないこともあります。
「・」や「◇」を振ることもあります。
数字と記号と、どちらを使うのが正解ですか?
これについても、どちらが正解ということはありません。
「項番」は箇条書きなどの冒頭に振る項目番号のことですが、必ずしも数字である必要はありません。
「・」、「◇」、カタカナ、アルファベットなども使えます。
ただし、文書内で用法を統一するようにしましょう。
文化庁の「公用文の書き方資料集」には、次の記載があります。[注1]
ウ 矢印や箇条書等の冒頭に用いる符号は、文書内で用法を統一して使う 新
矢印の類(→、⇒、⇔ 等)の用い方、また、箇条書や見出しの冒頭に置く様々な符号(・、○、●、 ◎、◇、◆、□、■ 等)の用い方についても特に定めはないが、文書内での用法を統一し、読み手に意図が伝わるようにする。
箇条書きの冒頭に振る符号について、「特に定めはない」とされています。
定めはありませんが、こちらでも、文書内での用法を統一し、読み手に意図が伝わるようと書かれています。
項番は、数字でも記号でも使うことはできますが、文書内で用法を統一し、読み手にスムーズに伝わるようにしましょう。
[注1]文化庁/新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)[pdf]
公用文の項番のルール
公用文には、公用文ならではの項番の振り方の例が示されています。[注1]
これは、記事作成には当てはまりませんが、参考までに見ていきましょう。
ウ 項目の細別と階層を示す
項目の細別と階層は、例えば次のような順序を用いる。数字や記号等は、必ずしもこれに従う必要はなく、ローマ数字やアルファベット等を用いることもできる。
(横書きの場合の例)
第1 1 (1) ア (ア)
第2 2 (2) イ (イ)
第3 3 (3) ウ (ウ)
(縦書きの場合の例)
第一 一 1 (一) (1) ア
第二 二 2 (二) (2) イ
第三 三 3 (三) (3) ウ
公用文では、上記のように例が示されていますが、「必ずしもこれに従う必要はなく」とも記載されています。
公用文であっても、絶対的なルールがあるわけではないようです。
[注1]文化庁/新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)[pdf]
箇条書きで読みやすい文章!3つのポイント
それでは、ユーザーに情報を分かりやすく伝えるために、箇条書きを活用する3つのポイントをご説明します。
ポイント1. 3つ以上の項目を並べるときは箇条書きにする
箇条書きや段落分けがなく、ひたすら列挙された文章は、メリハリがなく、必要な情報が読み取りにくいです。
これではユーザーに親切な文章とはいえません。
文化庁の資料にも次の記載がああります。[注1]
ウ 三つ以上の論点を並べるときには箇条書を利用する
一文の中で、並立する情報を三つ以上列挙するときには、箇条書を利用するなどして分かりやすく 示す。
例)
国語に関する内閣告示には、常用漢字表、外来語の表記、現代仮名遣い、送り仮名の付け方、 ローマ字のつづり方の五つがある。
→ 国語に関する内閣告示には、次の五つがある。
・常用漢字表
・外来語の表記
・現代仮名遣い
・送り仮名の付け方
・ローマ字のつづり方
上記の文章の例を見てみると、箇条書きにしたほうがずっと読みやすく、情報が頭に入りやすいです。
他にも、例文で確認してみましょう。
【例文:箇条書きのない文章】
接続詞の順接には、だから、したがって、そのため、それで、そのせいで、すると、そこで、という言葉があり、逆説には、しかし、ところが、とはいえ、けれども、それでも、それにしては、という言葉がります。
このままでは読んでもなんだか頭に入りにくい文章です。
それでは、上記の文章を箇条書きを使って書き直してみましょう。
【箇条書きのある文章】
接続詞には順接と逆説がある。
【順接】
- だから
- したがって
- そのため
- それで
- すると
- そこで
【逆説】
- しかし
- ところが
- とはいえ
- けれども
- それでも
- それにしては
箇条書きを活用したほうが、ずっと分かりやすくなります。
読み手にスムーズに理解していただくためには、情報を整理してひと目で分かるようにしましょう。
ポイント2. 順序や数が決まっているときは数字を振る
項目に順序があったり、数が決まっているときには、項目の冒頭に数字を振ると分かりやすいです。
反対に、順序がない並列であれば、「・」などでもよいでしょう。
例文で確認してみましょう。
【例文:箇条書きの冒頭を数字にする】
熱中症には次の6つの症状があります。
- めまい
- けいれん
- 吐き気
- 汗のかきかたがおかしい(多過ぎる、全くないなど)
- 体温が高い
- 呼びかけに反応しない(意識がない)
- 水分補給ができない
「6つの症状」など、数が決まっているときには、数字を振ると分かりやすいです。
【例文:箇条書きの冒頭を数字にする】
メレンゲは次の手順で作りましょう。
- 卵白を泡立てる
- グラニュー糖の1/2量を加える
- ツノが立つまで泡立てる
- グラニュー糖の1/2量を加える
- ツヤが出てボウルを逆さにしても動かなくなるまで泡立てる
何かの手順のように、順番があるときには数字を振ると分かりやすいです。
前述したように、項番の数字は全角にするか半角にするかの一般的なルールはありません。
仕様書や社内表記ルールを確認し、それらに沿った表記にしましょう。
ポイント3. 項番は文書内で用法を統一する
項番は、文書内で用法を統一しましょう。
例えば次の項目などを明確にしておきましょう。
- 全角か半角か
- 並列であればどの記号を使うか(・、◇、◆、◯、●など}
- 順序は数字かカタカナか(123、アイウなど)
- 箇条書きの文末を「です・ます」にするか「だ・である」にするか
文書内で用法が統一されていないと、せっかく整理された情報がちぐはぐで読みにくくなってしまいます。
[注1]文化庁/新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)[pdf]
箇条書きにする5つのメリット
箇条書きにすることには次の5つのメリットがあります。
【箇条書きの5つのメリット】
- 項目が幾つあるのかすぐ分かる
- 項目の内容がひと目で分かる
- 情報が整理される
- 文字数を少なくできる
- 伝えたい情報が明確になる
複数の項目を列挙するときは、箇条書きを活用して伝えてみましょう。
伝えたい情報が明確であることは、読み手にとって大きなメリットです。
スムーズに理解していただけるよう、項番を上手に活用しましょう。
項番を活用してスムーズに伝える
箇条書きにして項番を振る目的は、情報をスムーズに伝えることです。
記事作成において項番の振り方の決まりはありませんが、「伝わりやすいかどうか」を指針としてみるのはいかがでしょうか。
そうすれば、「記号にするべきか」「数字にするべきか」「カタカナにするべきか」、自ずと適切な方法が浮かび上がるはずです。
また、クライアント様の仕様、社内表記ルールがあるのであれば、そちらを最優先に項番を振りましょう。
参考文献:「記者ハンドブック第13版」共同通信社
参考文献:阿部紘久「文章力を伸ばす」日本実業出版社