「時」と「とき」の違いと使い分けは?公用文での表記を解説

「時」と「とき」の違いと使い分けは?公用文での表記を解説

「時」「とき」は、公用文において使い分ける必要があります。

 

  • そのような は連絡しましょう
  • そのような とき は連絡しましょう

 

正解はどちらでしょう。

出版物やweb記事では下記が正解とされています。

 

◯ そのような とき は連絡しましょう

 

状況(〜場合)を示す形式名詞の「とき」はひらがなで記すという指針があるためです。[注1]

「とき」を「場合」に直しても文章が成り立つようなら、それは状況を示しているため、「とき」とひらがな表記してよいでしょう。

一方、時間・時期・時刻を示す場合には「時」という漢字が使われます。

 

公用文の「時」と「とき」の使い分けをわかりやすくご説明します。

公用文ではない作文や私小説でも、使い分けられると差がつけられます。ぜひ、参考になさってください。

 

[注1]文化審議会国語分科会/新しい「公用文作成の要項」に向けて(報告)/p13[pdf]

 

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「時」と「とき」の違いと使い分け

「時」と「とき」の違いと使い分け

 

公用文では、「時」「とき」を使い分ける必要があります。

 

記事を書いていて、「そんなときには」「そんな時には」で迷うことがあります。

「そんなときには」が正解です。

「…の場合」という意味で使われる「とき」は、ひらがな表記するためです。

ほら、「そんなときには」は、「そんな場合には」と言い換えられます。

そのため、ひらがな表記でしょう。

そうやって考えると、簡単に判断できます。

 

「時」と「とき」は次の基準で使い分けます。[注2]

 

表記 基準
名詞

時間・時期・時刻そのもの

売り

梅雨

には

とき 形式名詞

「…の場合」

行けないとき

いざというとき

都合の良いとき

 

意味を考えて、「…の場合」と言い換えられるようなら、ひらがなの「とき」を使いましょう。

 

漢字表記かひらがな表記か迷うことはよくあります。「事」と「こと」の使い分けについてもご紹介した記事があります。こちらもご覧ください!↓

「こと」と「事」の違いや公用文での使い分けを解説!

 

[注2]共同通信社「記者ハンドブック第13版」

 

「時」の使い方:例文

「時」と漢字表記する場合

 

「時」と、漢字表記するのは、次のような場合です。

 

  • 名詞
  • 時間・時期・時刻そのものを示す

 

次の例が挙げられます。[注2]

「時」の例
売り

買い

書き入れ

そのが来た

梅雨

時々

が解決する

として

と場合による

には

の権力

の人

の流れ

は金なり

をまつ

いつ何

 

上記の例のように、時間・時期・時刻そのものを示す名詞は「時」と漢字表記します。

 

[注2]共同通信社「記者ハンドブック」

 

「とき」の使い方:例文

「とき」とひらがな表記する場合

 

「とき」と、ひらがな表記するのは、次のような場合です。

 

  • 形式名詞
  • 状況(…の場合)を示す

 

文科審議会国語分科会の「新しい『公用文作成の要領』に向けて(報告)」には、形式名詞はひらがなで表記するよう示されています。[注1]

【引用:文化審議会国語分科会「新しい『公用文作成の要領』に向けて(報告)」】

形式名詞

例)事→こと 時→とき 所・処 △ →ところ 物・者→もの (ただし、「事は重大である」「法律の定める年齢に達した時」「家を建てる所」「所持する物」 「裁判所の指名した者」のように、具体的に特定できる対象がある場合には漢字で書く。) 中 △ ・内→うち(「…のうち」等。「内に秘める」などは漢字で書く。) 為 △ →ため 通り→とおり(「通知のとおり…」「思ったとおり」等。「大通り」などは漢字で書く。) 故→ゆえ(「それゆえ…」等。「故あって」などは漢字で書く。) 様→よう(「このような…」等) 訳→わけ(「そうするわけにはいかない」等。「訳あって」などは漢字で書く。)

 

「とき」の使い方として、次の例が挙げられます。[注2]

「とき」の例
開催するときは連絡します

いざというときに困る

当選したとき

有事のとき

事件が起こったとき

採用のとき

…しようとするときには

都合の良いとき

困ったときの神頼み

 

「…の場合」と言い換えられるときには、「とき」とひらがな表記するのがわかります。

 

それでも、「時」と「とき」、どうしても迷う場合には、ひらがな表記としましょう。[注2]

 

[注1]文化審議会国語分科会/新しい「公用文作成の要項」に向けて(報告)[pdf]

[注2]共同通信社「記者ハンドブック」

 

小説や法律では?

「時」と「とき」の表記については、法律や小説でも、原則は同じです。

 

  • 時間を指しているなら「時」
  • 状況(場合)を指しているなら「とき」

 

そんなふうに覚えてもよいでしょう。

例文で確認してみましょう。

 

【例文:「時」と「とき」】

在宅で仕事している に、荷物が届いた。

→「仕事している時」の「時」が「時間」を示している

 

在宅で仕事している とき のメリットを挙げてください。

→「仕事しているとき」の「とき」が状況(場合)を示している

 

例文を参考に、使い分けてみてください。

 

「その時」と「そのとき」はどちら?

 

文章を書いていて、「その時」と「そのとき」もよく迷います。

わかります。

これまでご説明した原則で判断できます。

時間を示している→「その時」

状況(場合)を示している→「そのとき」

この基準で判断しましょう。

 

こちらも例文で確認してみましょう。

 

【例文:「その時」と「そのとき」】

その に、荷物が届いた。

→「その時」の「時」が「時間」を示している

 

その とき のメリットを挙げてください。

→「そのとき」の「とき」が状況(場合)を示している

 

例文のように使い分けましょう。

 

使い分けに迷ったらひらがな表記をする

使い分けに迷ったら「ひらがな表記」をする

 

でも、どうしても迷ってしまう場合があります。

時間と場合、どちらを示しているようにも感じることがあります。

どうしたらいいですか?

そういうこともあります。

どうしても使い分けに迷う場合には、ひらがな表記をしましょう。

 

例文で確認してみましょう。

 

【例文:「時」と「とき」の使い分けに迷う場合】

帰る とき には連絡します。

→「とき」が「帰る時間」とも「帰る場合」のどちらにも解釈できる

 

例文のように、「とき」が、「時間」「状況(場合)」のどちらにも解釈できることはあります。

そのように、使い分けに迷う場合にはひらがな書きをしましょう。[注2]

 

[注2]共同通信社「記者ハンドブック第13版」

 

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公用文では「時」と「とき」を使い分ける

公用文では、「時」と「とき」は使い分けます。

 

  • 時: 時を示す
  • とき:状況(場合)を示す

 

「困ったとき」が「困った場合」と言い換えられるように、「とき」を「場合」に置き換えても文章が成り立つようなら、「とき」とひらがな表記してよいでしょう。

どうしても使い分けに迷う場合にはひらがな表記とします。

意外と知らない方が多いのが「時」と「とき」の使い分けです。

知ってしまえば、とても簡単に使い分けられます。ぜひ、覚えてしまいましょう。

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