「こそあど」とは指し示す働きを持つ語である指示語の総称です。
「これ」「それ」「あれ」「どれ」などの語があることから、「こそあど」と呼ばれます。
短い言葉で対象を指し示す便利な言葉ですが、使い方を誤ると何を指しているのかわからず意味が通じないこともあります。
記事作成の際に「こそあど(指示語)の適切な使い方がイマイチわからない」とお悩みの方も少なくありません。
今回は、意外と知らないこそあど(指示語)についてわかりやすく解説し、上手な使い方を4つの事例からお伝えいたします。
読み手がスラスラ理解できる文章を作成するためには、こそあど(指示語)が何を指すのかを明確にしましょう。
目次
「こそあど」とは「これ」「それ」「あれ」「どれ」など指示語の総称

「こそあど」とは、「これ」「それ」「あれ」「どれ」など、物事を指し示す働きをする語の総称です。「指示語」とも呼ばれます。
ある対象物について、同じ語を繰り返すとくどい印象になってしまうときは、指示語を使うことで文章をスッキリさせられます。
例文で確認しましょう。
【例文:こそあど(指示語)を使わない場合】
あなたの手元に帽子があります。あなたの手元の帽子を渡してください。
上記のように具体的な単語を重ねて使うと文章がくどくなってしまうときには指示語の出番です。
指示語を適切に使えば文章をシンプルにわかりやすくできます。
上記の文章で指示語を使ってみましょう。
【例文:こそあど(指示語)を適切に使った場合】
あなたの手元に帽子があります。それを渡してください。
指示語を使わない場合よりもスッキリとわかりやすくなりますね。
ただし、指示語は使い方を誤ると非常に読みにくい文章になってしまいます。
指示語には、対象物との距離による違いや品詞による違いがあるため、間違えずに適切な語を選択して使用しなければいけません。
こそあど(指示語)の上手な使い方
短い言葉で対象物を表せるため、文章をシンプルにしてくれるこそあど(指示語)ですが、適切に使わないと何を指しているのかわからない曖昧な文章になってしまいます。
文章を読み返してみて「なんだか意味が分からない」と感じたら、こそあど(指示語)の誤用がないか確認してみましょう。
また、こそあど(指示語)を使わなくても意味が通じるようなら、思い切って使わない方がシンプルでわかりやすい文章になることもあります。
それでは、こそあど(指示語)の上手な使い方をマスターするために大切な要素を、4つの事例を挙げてご説明します。
【事例1】こそあど(指示語)は対象との距離に応じて適切に選ぶ

こそあど(指示語)を上手に使うためには、対象との距離に応じて正しく使い分けなければけません。
近い物を指すなら「これ」、相手の近くにある物や具体的な物を指すなら「それ」、遠い物を指すなら「あれ」を選びましょう。
たとえば、前述の例文の指示語を間違えるとどうなるか見てみましょう。
【例文:こそあど(指示語)を誤って使った場合】
あなたの手元に帽子があります。あれを渡して下さい。
違和感がありますね。これでは読者は「あれ」が何を指すのかわからずに迷ってしまいます。
指示語は対象との距離によって区別があり、正しく選択しないと読者に「なんだか意味がわからないなぁ」という印象を抱かせてしまいます。
この文章の場合、「帽子」は相手の手元にあります。相手に近い物や具体的な物を指すときには、「それ」を用いるのが適切です。
この場合はやはり下記が正解です。
【例文:指示語を適切に使った場合】
あなたの手元に帽子があります。それを渡して下さい。
このように、こそあど(指示語)は対象との距離に応じて適切に選びましょう。
【事例2】こそあど(指示語)を品詞によって使い分ける
こそあど(指示語)の品詞には名詞(代名詞)・連体詞・副詞・形容動詞があります。
品詞による違いも理解して適切に用いましょう。
【名詞(代名詞)】
名詞を指す指示語
- 物事を示す「これ」「それ」「あれ」「どれ」
- 場所を示す「ここ」「そこ」「あそこ」「どこ」
- 方角を指す「こちら」「そちら」「あちら」「どちら」
【連体詞】
名詞につながる指示語
- 「この」「その」「あの」「どの」
【副詞】
動詞につながる指示語
- 「こう」「そう」「ああ」「どう」
【形容動詞】
状態や性質を表す指示語
- 「こんな」「そんな」「あんな」「どんな」
では、例文で見ていきましょう。
【例文:こそあど(指示語)を適切に使った場合】
あなたの手元に帽子があります。それを渡して下さい。
上記の指示「それ」の品詞を間違えてしまうとどうでしょう。
【例文:こそあど(指示語)を誤って使った場合】
あなたの手元に帽子があります。そのを渡して下さい。
とたんに文章の意味がわからなくなってしまいますね。
上記は極端な例であるため、さすがにこのように名詞と連体詞を間違える方は少ないかと思います。
では、同じ名詞(代名詞)を選んでも、違う種類の指示語を使ってしまうどうでしょう。
次の例文のように意味が伝わらなくなってしまいます。
【例文:こそあど(指示語)を誤って使った場合】
あなたの手元に帽子があります。そこを渡して下さい。
同じ名詞(代名詞)でも、「もの」を示す「それ」と、「場所」を示す「そこ」を間違えないように気をつけましょう。
ただし、「もの」と「場所」を示す指示語のどちらでも使える場合もあります。
【こそあど(指示語)を適切に使った場合】
赤いボタンがあります。それを押してください。
【こそあど(指示語)を適切に使った場合】
赤いボタンがあります。そこを押してください。
上記の場合は、指示語が指す「赤いボタン」は「もの」でも「場所」でもあるため、「それ」でも「そこ」でも意味が通じます。
「連体詞」「副詞」「形容動詞」について、記事ブログ内に私がわかりやすくご説明した記事があります。「品詞ってよくわからないな」と思われる方は、こちらも参考にしてみてください↓
他品詞との見分けが紛らわしい連体詞について、ぱっ見て判断できるようになります↓
副詞は「とても美しい」の「とても」など、用言を修飾する品詞です。記事内には、おもな副詞の一覧もあるため、副詞についてすぐ理解できます↓
形容動詞の記事は、形容詞や他品詞との見分け方を3つのポイントで解説しています。たとえば、「星がきれいです」の「きれい」は形容動詞です。記事では、形容動詞と形容詞との見分け方が簡単にわかるようになっています↓
【事例3】読み間違いが危険を招く文章ではこそあど(指示語)の使用は控える
こそあど(指示語)の使用でとくに注意が必要なのが、読み手に誤解を与えた場合に危険を招く文章です。
たとえば、下記の文章は、読み手が意味を取り違えると大変危険です。
【例文:こそあど(指示語)を不適切に使った場合】
2つのボタンがあります。
青いボタンには触らないでください。
そのボタンは触ると危険です。でも、赤いボタンは触っても大丈夫です。
そのボタンは触っても危険がありません。
上記の文章は、間違ってはいないのですが、読み手がパッと見て、「そのボタン」が何を指すのかとてもわかりにくいです。
読み手に誤解を与える危険な説明文になってしまっています。
指示語の使用を控えて改行の位置や文章の構成を直すと、読み間違いの少ない説明文になります。
【例文:指示語の使用を控えた場合】
2つのボタンがあります。
青いボタンは、触ると危険であるため、触らないでください。
赤いボタンは、危険がないため、触っても大丈夫です。
万が一にも誤解があってはならない文章では、指示語の使用はできるだけ控え、具体的な語で簡潔に説明するように努めましょう。
【事例4】 こそあど(指示語)を多用しない
こそあど(指示語)は適切に使うと文章をスッキリさせるために有用です。
しかし、だからといって多用すると文章がわかりづらくなります。
こそあど(指示語)は抽象的であることから、どの語を指し示しているのか読み手に伝わりにくいことがあるためです。
それでは例文で見ていきましょう。
まずは、こそあど(指示語)を使わない文章です。
【例文:こそあど(指示語)を使わない場合】
山田さんは机の上から大切な封書を見つけ出した。
周りを窺いながら、机の上の大切な封書を開封した。
上記の文章の場合、少しくどい印象になりますね。
次は、同じ文章で適切な指示語を使った場合の例文です。
【例文:こそあど(指示語)を適切に使った場合】
山田さんは机の上から大切な封書を見つけ出した。
周りを窺いながら、それを開封した。
指示語「それ」を使うことでスッキリと伝わりやすい文章になったのがわかります。
ところが、指示語を多用したらどうなるでしょう。
下記のように無駄な指示語を一語足しただけでも、曖昧でわかりにくい文章になってしまいます。
【例文:こそあど(指示語)を多用した場合】
山田さんは机の上から大切な封書を見つけ出した。
周りを窺いながらその上のそれを開封した。
とたんに意味のわかりにくい文章になります。これでは、読み手が「その」や「それ」が何なのか一生懸命考えることになってしまいます。
適切に指示語を使った場合にはスッキリと理解できた「それ=大切な封書」すらも、ちょっと考えないと意味が取れなくなってしまいます。
こそあど(指示語)は適材適所に使ってこそ生きてきます。文章の中に頻出させることのないよう気をつけましょう。
こそあど(指示語)を適切に使用してシンプルでわかりやすい文章を作成しよう
ご紹介したように、こそあど(指示語)を適切に用いれば、文章をよりシンプルにわかりやすくできます。
一方で、こそあど(指示語)を誤用・多用すると、わかりにくい文章になってしまいます。
記事を参考に、こそあど(指示語)の使い方を確認してみてください。
ポイントは、読み手に負担をかけず、読む端からスラスラ理解できる文章にすることです。
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