わざわざ、記事を修正しておきました。
え!
その「わざわざ」は少し嫌味ではないですか…
「わざわざ」は使い方を誤ると、嫌味に聞こえてしまう言葉です。
意図が誤って伝わってしまうと大変です。
「わざわざご連絡ありがとうございます」のように、特別してもらったことにお礼を述べるときなどに使うとよいでしょう。
「わざわざ」の意味、敬語としての使い方、嫌味になる使い方、言い換え、漢字「態々」などをご紹介します。
目次
「わざわざ」の意味:ポジティブとネガティブ
「わざわざ」には次の2つの意味があります。
- 特別にそのためだけに行うさま
- しなくてもよいことをことさらにするさま
ポジティブな意味とネガティブな意味の2つがあります。
デジタル大辞泉には次の記載があります。
わざわざ【態々】
1 他のことのついでではなく、特にそのためだけに行うさま。特にそのために。
「ー出掛けなくても電話で済むことだ」
2 しなくてもよいことをことさらにするさま。故意に。
「ご親切にもー忠告に来る人がいる」
[引用]小学館「デジタル大辞泉」
1の意味で使えばポジティブに、2の意味で使えばネガティブな印象になります。
受け取り方によっては、ポジティブに使ったはずの「わざわざ」も、嫌味に受け取られてしまいます。
また、あえて嫌味として使える要注意な言葉でもあります。
例文で確認してみましょう。
【例文:わざわざ】
ポジティブな意味
わざわざお越しいただきましてありがとうございます。
ネガティブな意味
わざわざお知らせいただかなくても結構です。
「わざわざ」は「特別にしてもらった」ことにお礼を述べるときに使える言葉です。
一方で、「余計なことをされた」というニュアンスを伝えることもできます。
「特別にしてもらった」ニュアンスを伝えたいのに、「余計なことをされた」をいう伝わり方をしてしまうとやっかいです。
使い方を詳しく見ていきましょう。
「わざわざ」の敬語としての使い方
「わざわざ」を失礼にならずに使えるのは次の場合です。
- 相手が、自分のために特別に何かをしてくれたことを伝えるとき
- 相手が、ついでではなく、そのことだけのために特別に何かをしてくれたとき
例文で確認してみましょう。
【例文:「わざわざ」のポジティブな使い方】
わざわざご連絡をいただきまして、誠にありがとうございます。
わざわざお越しいただきまして、感謝申し上げます。
本日は暑いなか、わざわざご足労くださりありがとうございます。
上記のように使うなら、嫌味にもならず、特別な行動への感謝の気持ちを伝えられます。
「わざわざ」が嫌味になってしまう使い方
「わざわざ」が嫌味になってしまう使い方があります。
次のような場合です。
- 不必要で余計な行為をわざとされたことを伝えるとき
- 相手に断りをいれるとき
- 「わざわざ」を自分の行動に使うとき
例文で確認してみましょう。
【例文:「わざわざ」が嫌味になる使い方】
わざわざこちらにいらっしゃらなくてもいいですよ。
事前に登録されていれば、わざわざご連絡をいただかなくても結構です。
こちらの資料が必要かと思い、わざわざお持ちしました。
他にも、不要な自慢などをされたときに「わざわざお話しいただきありがとうございます」と言うこともできます。
しかしながら、嫌味になってしまう使い方は、相手との関係を悪くしたり、相手に嫌な思いをさせたりしてしまうものです。
嫌味になってしまう使い方を覚えておいて、使ってしまうことのないように気をつけましょう。
「わざわざ」の言い換え表現:「ご丁寧に」
「わざわざ」を使ってよいか迷ったときには、他の言葉で言い換えましょう。
「わざわざ」の言い換えには次の言葉が適しています。
- ご丁寧に
- お忙しいところ
- 特別に
例文で確認してみましょう。
【例文:ご丁寧に】
わざわざご連絡いただきましてありがとうございます。
↓言い換え
ご丁寧にご連絡いただきましてありがとうございます。
【例文:お忙しいところ】
わざわざご連絡いただきましてありがとうございます。
↓言い換え
お忙しいところご連絡いただきましてありがとうございます。
【例文:特別に】
わざわざご連絡いただきましてありがとうございます。
↓言い換え
特別にご連絡いただきましてありがとうございます。
また、場面ごとに、臨機応変な言い換えもあります。
【例文:「わざわざ」の言い換え表現】
わざわざお越しいただきましてありがとうございます。
↓言い換え
遠路はるばるお越しいただきましてありがとうございます。
わざわざご作成いただきありがとうございます。
↓言い換え
手間ひまかけてご作成いただきありがとうございます。
わざわざこちらまでお届けいただきありがとうございます。
↓言い換え
労力をかけてこちらまでお届けいただきありがとうございます。
「わざわざを使うと嫌味になってしまいそうだな」というときには適宜言い換えてみましょう。
参考になります。
「わざわざ」の漢字:「態々」
「わざわざ」は、漢字では「態々」と書きます。
「態々」は「くまくま」ではありませんよ。
…。
「態々」を「わざわざ」と読める人は少ないかと思います。
わざわざの由来は、「態々し(わざわざし)」という古語です。
「態々し(わざわざし)には「わざとらしい」という意味があります。
わざわざし【態々し】
わざとらしい
「ーしくことごとしくきこゆれど」<大鏡・序>
[引用]小学館「デジタル大辞泉」
大鏡の「わざわざしくことごとしくきこゆれど」は、「わざとらしく仰々しく聞こえるが」という意味です。
もともとはネガティブな意味だった言葉に、ポジティブな意味も加わえて使われるようになりました。
「わざわざ」の英語表現
「わざわざ」の英語表現をご紹介します。
- expressly to(わざわざ)
- all the way (はるばる、わざわざ)
- go out of one’s way(無理をしてわざわざ行う)
- take the trouble to(わざわざ〜する)
例文で確認してみましょう。
【例文:英語】
She came here expressly to see him.
(彼女はわざわざ彼に会うためにここへ来た)
Thank you for coming all the way here .
(わざわざこちらへお越しいただきましてありがとうございます)
Thank you for going out of your way to bring this one.
(これをわざわざ持ってきてくれてありがとうございます)
I took the trouble to go to see him.
(私はわざわざ彼に会いに行った)
【まとめ】「わざわざ」は嫌味にならないように使おう
「わざわざ」にはポジティブな意味とネガティブな意味の2つがあります。
- ポジティブ:特別にそのためだけに行うさま
- ネガティブ:しなくてもよいことをことさらにするさま
「わざわざお越しいただきましてありがとうございます」など、感謝の言葉を述べるときに使うのは嫌味ではありません。
しかし、人によっては嫌味と感じられてしまうやっかいな言葉でもあります。
「わざわざ」を使ってよいのか迷うときには、ご紹介した言い換え表現を使ってみましょう。