「それなら効率が いい と思います」
会話では自然に使われる「いい」という言葉ですが、書き言葉になると「よい」を使うべきかと悩む場合があります。
「効率がいいと思います」「効率がよいと思います」
メールであれば、どちらが適切でしょうか?
基本的には下記の使い分けをします。
- 改まった言い方は「よい」「良い」
- カジュアルな言い方は「いい」
- 書き言葉は「よい」「良い」
- 口語は「いい」
メールや記事作成など、書き言葉であれば「よい(良い)」を使いましょう。
しかし、「いいご身分だ」のように皮肉なニュアンスでは「いい」を使うなど、ニュアンスで使い分けることもあります。
こちらでは、基本の使い分けと、注意が必要な使い分けをすっきり解説いたします!
目次
「いい」と「よい」の使い分け
- 「今日は、天気が いい ですね」
- 「今日は、天気が よい ですね」
会話の中では自然に使われる「いい」という言葉ですが、書き言葉にすると、「よい」にするべきだろうかと悩むことがあります。
どちらも間違いではありません。ただし、使い分ける必要があります。
一般的には次の認識です。
- 「よい」「良い」: 書き言葉・改まった表現
- 「いい」: 話し言葉・カジュアルな表現
会話や友人とのメッセージのやり取りの場合、「今日は、天気が いい ですね」が使えます。
文章や目上の方へのメッセージであれば「今日は、天気が よい です」を使うほうが適しています。
「よい」の意味と使い方
「よい」をデジタル大辞泉で調べると次の意味が載せられています。[注1]
【よい】
1 (多く「良い」「好い」と書く)人の行動・性質や事物の状態などが水準を超えているさま。
2 (多く「良い」「善い」と書く)人の行動・性質や事物の状態などが、当否の面で適切・適当な水準に達しているさま。
3 人の行動・性質や事物の状態などが許容範囲内であるさま。
4 (「よい年」などの形で)ある程度の年齢に達している。また、分別を身につけているはずだ。
5 (多く「良い」「佳い」「吉い」と書く)吉である。めでたい。
6 情操の面ですぐれている。情趣を解する能力がある。
7 動詞の連用形に付いて、動作が簡単・容易・円滑・安楽にできるさまを表す。
◆現代の日常会話では、終止形・連体形に「いい」を多く用いるため、「よい」を用いるとやや改まった感じを与える場合がある。
全体的に、ポジティブに肯定する意味合いのある言葉です。
意味によって異なる使い方を例文で確認しましょう。
【よいの使い方】
意味 | 例文 |
質が高い | よい友に恵まれる よい品 |
能力がすぐれている
上手である |
腕のよい職人
感度のよいラジオ |
美しい
すばらしい |
器量がよい
よい景色 |
良好である
健全である 健康である |
体もすっかりよくなった
気分のよい朝 |
地位や身分が高い
社会的にしっかりしている |
よい家柄
育ちのよい人 |
経済的に栄えている
裕福である |
懐ぐあいがよい
暮らし向きがよい |
利益の面ですぐれている
有益である 有利である |
割のよい仕事
よい値で売れる |
効き目がある
効果的である |
病によい薬 |
向いている
ふさわしい
|
旅行によい季節
ちょうどよい時に現れた |
自分の好みに合っている
望ましい |
私はワインがよい
住むなら都会がよい |
正しい
善である |
行いがよい
人柄がよい |
好ましい | 笑顔がよい |
満ち足りている
幸せである |
あなたに会えてよかった |
親切である | 気立てがよい |
円満である | 人間関係がよい |
十分である | 度胸がよい |
承認できる | 代理でもよい |
さしつかえない | よかったらコーヒーでもどうですか |
放っておいてかまわない | もうよい |
ある程度の年齢に達している | よい年 |
吉である | よい日を選ぶ |
情操の面ですぐれている | よい人 |
…しやすい | 住みよい |
「いい」の意味と使い方
「よい」をデジタル大辞泉で調べると次の意味が載せられています。[注1]
【いい】
1 →「よい」に同じ
2 関係が良好である。特に、男女が相思相愛の仲である。
3 (反語的に用いて)見苦しい。みっともない。
◆「よい」の終止形・連体形だけが、類義・類音の「ええ(良)」の影響を受けて「いい」となった語。
1番の意味では、「よい」と同じであると記載されています。
意味によって異なる使い方を例文で確認しましょう。
意味 | 例文 |
「よい」に同じ | 容姿がいい
いいようにする 練習していい もういい |
関係が良好である
(特に男女が相思相愛) |
彼らはいい仲だ
いい人ができた |
見苦しい
みっともない |
いい気になるな
いい恥さらしだ |
「いい」には、「よい」と同じ意味もありますが、「よい」にはない意味もあります。
それが、デジタル大辞泉にもある次の意味です。
2 関係が良好である。特に、男女が相思相愛の仲である。
3 (反語的に用いて)見苦しい。みっともない。
例えば、男女が相思相愛であることを「彼らはいい仲だ」という場合、「彼らはよい仲だ」と、「よい」を使うことはできません。
また、「いい気になるなよ」という場合、「よい気になるなよ」と「よい」を使うことはありません。
[注1]小学館/デジタル大辞泉
口語(話し言葉)では「いい」が自然に使われる
口語(話し言葉)では、「いい」が自然に使われていることが多いです。
例文で確認してみましょう。
【例文:自然な口語では「いい」が使われる】
「この部屋は日当たりがいいですね」
「彼はいい人だね」
「いいお店を見つけたよ」
「最近、何かいい事でもあった?」
「この部屋は日当たりがよいですね」と言うと、かしこまった印象になります。
間違いではありませんが、より自然に使われているのは「この部屋は日当たりがいいですね」のほうでしょう。
【漢字とひらがな】良いとよいの使い分け
公用文や記事作成の場では、「良い」と「よい」は基本的に次のように使い分けるよう、共同通信社の「記者ハンドブック」に記載されています。[注2]
よい
=(好い)→良い
〔一般用語〕
頭が良い 感じが良い 気分が良い 経過が良い
成績が良い 都合が良い 手際が良い 仲が良い
人が良い(お人よしはひらがな表記) 人柄が良い
品質が良い 良い機会 良い子 良い作品
良い習慣 良い友だち
=よい
〔補助用言、接尾語など〕
…してよい、住みよい、それでよい、もうようい
〔注〕
「良い・善い」の終止形・連体形は、多く「いい」が使われる。使い分けに迷う場合は、「よい、いい」などと平仮名書き。
引用:共同通信社「記者ハンドブック第13版」
つまり、次のように使い分けます。
良い :一般用語として「良い」の意味を持つ言葉
よい: 補助用言・接尾語など
注意書きの部分に「使い分けに迷う場合は、『よい、いい』などと平仮名書き」とあります。
どうしても判断に迷ったら、ひらがなで表記しましょう。
また、クライアント様の仕様や社内表記ルールに、「良い・よい」の使い分けの指標がある場合には、そちらを優先します。
[注2]参考:共同通信社「記者ハンドブック第13版」
書き言葉は「よい」口語は「いい」
基本的には、書き言葉は「よい(良い)」、口語(話し言葉)は「いい」を使います。
記事内でご紹介したように、「いい」でしか表現できない意味やニュアンスもあるため、その場合には「いい」を使いましょう。
余談ですが、「ええ」という方言もあります。「いい」よりさらにカジュアルで温かみのある表現です。
また、「よき日」「よき友」という文語調の少し趣のある表現もあります。
同じ意味でも、言い方一つで、改まった表現にもカジュアルな表現にもなります。
さらに温かみを出したり、趣を出したりもできるのですから、言葉は楽しいですね。