可能動詞とは、「〜できる」という可能の意味を持つ動詞です。
- 日本語が話せる
「話せる」は可能動詞です。一語で「話すことができる」という可能の意味を表します。
可能動詞の見分け方が知りたいです。
可能動詞は、必ず五段活用の動詞から作られます。
可能動詞を見分けることはとても簡単です。こちらで、可能動詞の4つの特徴を覚えてしまいましょう。
ただし、「見られる」など、動詞に助動詞「られる」がついた言葉は可能動詞ではありません。要注意ポイントとして解説いたします。
目次
可能動詞とは?4つの特徴
可能動詞とは、「〜できる」という可能の意味を持つ動詞です。
次の言葉は可能動詞です。
- 話せる
- 読める
- 歩ける
どの言葉も、「〜できる」という可能の意味があるのがわかります。
可能動詞は、一つの動詞として考えます。
可能動詞には、次の4つの特徴があります。
- 一語で「〜できる」を意味する
- 五段活用の動詞から作られる
- 可能動詞は下一段活用である
- 可能動詞は命令形がない
特徴それぞれを詳しく見ていきましょう。
特徴1. 一語で「〜できる」を意味する動詞
可能動詞とは、「〜できる」を意味する動詞です。一語で「〜できる」を表します。
- 話す→話せる(話すことができる)
- 読む→読める(読むことができる)
- 歩く→歩ける(歩くことができる)
上の例をご覧いただいても分かるように、とても簡単です。
テストなどでも、あまり難しく考えなくても抜き出せるのが可能動詞です。
ただし、「見られる」「来られる」など、動詞に「られる」がついて可能を表す言葉は、可能動詞ではありません。そこは、注意が必要です。
動詞+「られる」については、後述いたします。
こちらではまず、一語で「〜できる」という意味を表す動詞が可能動詞であると覚えてしまいましょう。
特徴2. 五段活用の動詞から作られる
可能動詞は五段活用の動詞から作られます。
【例文】
ドイツ語を 話す。(五段活用の動詞)
ドイツ語を 話せる。(可能動詞)
「話す」は五段活用の動詞です。この「話す」が変化して「話せる」になると、可能の意味を表します。
【例:可能動詞は五段活用の動詞から作られる】
五段活用の動詞 | 可能動詞 |
話す | 話せる |
読む | 読める |
歩く | 歩ける |
それでは、五段活用の動詞の見分け方をご説明します。
【例文:五段活用の動詞の見分け方】
1.「読む」という動詞に、「ない」をつけてみる。
2.「読まない」
「ない」の前の音がア段の音になる
↓
「読む」は五段活用の動詞である!
動詞に「ない」をつけて、その動詞がア段で終われば五段活用です。
つまり、「ア段+ない=五段活用」と見分けましょう。
特徴3. 可能動詞は下一段活用である
可能動詞は、全て下一段活用です。
可能動詞は、五段活用の動詞から作られますが、可能動詞自体は下一段活用です。少し紛らわしいので注意しましょう。
【例:可能動詞は下一段活用】
読む:五段活用
読める:下一段活用 ←可能動詞
「読める」を活用させてみましょう。
- 読め ナイ
- 読め マス
- 読める
- 読める コト
- 読めれ バ
全て「め」というエ段の音で活用します。従って、「読める」は、下一段活用です。
特徴4. 可能動詞は命令形がない
可能動詞は命令形がありません。
たとえば、「読める」を命令形にして、「読めろ」とは言うことはありません。
確かに、「読めろ」とは言いません。
「読めろ」と命令されたら、かなり驚きます。
そうです。違和感があります。
可能動詞を命令形にはできません。
【例文:可能動詞に命令形はない】
可能動詞 | 命令形はない |
読める | ✕読めろ |
書ける | ✕書けろ |
話せる | ✕話せろ |
歌える | ✕歌えろ |
笑える | ✕笑えろ |
動詞+助動詞「られる」は可能動詞ではない
五段活用ではない動詞は、可能動詞を持ちません。
あれ?「見る」は上一段活用ですが、「見られる」という言葉があります。
これは可能動詞ではないのですか?
「見られる」は可能動詞ではありません。
「見る」という動詞に可能の助動詞「られる」がついた言葉です。
- 上一段活用 見る 見られる
- 下一段活用 食べる 食べられる
- か行変格活用 来る 来れられる
これに対し、少し紛らわしいのですが、「走れる」は可能動詞です。
これは、もとの動詞「走る」で判断します。「走る」に「ない」をつけると「走らない」と、活用語尾がア段の音になるため、五段活用とわかります。もとの動詞が五段活用なので、「走れる」は可能動詞とわかります。
ら抜き言葉に注意
可能動詞は五段活用の動詞から作られます。
よく似ていて、間違えがちなのが、動詞+可能の助動詞「られる」で作られた言葉です。
さらに紛らわしいのが、「ら抜き言葉」です。「見られる」から「ら」が抜けて、「見れる」という言葉になるものです。
これは「ら抜き言葉」とされていて、現時点では、正しい書き言葉であるとは認識されません。[注1]
次の点に気をつけ、可能動詞と間違えないようにしましょう。
- 可能動詞は必ず五段活用の動詞から作られる
可能動詞は、もとの動詞が必ず五段活用の動詞です。迷ったら、もとの動詞に「ない」をつけ、ア段の音で活用するか考えてみましょう。
もとの動詞が五段活用であれば可能動詞。
もとの動詞が五段活用でなければ可能動詞ではありません。
「ら抜き言葉」については、記事ブログでもご説明しています。詳しくは、こちらをご覧ください↓
[注1]文化庁/新しい時代に応じた国語施策について(審議経過報告)/Ⅰ言葉遣いに関すること
練習問題:可能動詞と補助動詞
それでは、練習問題で確認してみましょう。
問題:次の文章より、可能動詞を選んでください。
- 今日は 学校に 行ける。
- イチョウ並木を 歩く。
- 休日は 本が たくさん 読める。
- この服は まだ 着れる。
簡単に選べたでしょうか。次に答えを示します。
【答え】
可能動詞:1行ける 3読める
4番は可能の意味がありますが、可能動詞ではありません。少し紛らわしかったかもしれません。
解説いたします。
【解説:それぞれの動詞】
1.行ける→「行く(五段活用の動詞)」→「行ける(可能動詞)」
2.歩く→「五段活用の動詞」
3.読める→「読む(五段活用の動詞)」→「読める(可能動詞)」
4.着れる→「着る+られる」から「ら」が抜け落ちた「ら抜き言葉」
「動詞+られる」は可能動詞ではない、ということに注意しましょう。
見分けるときに迷ったら、もとの動詞に「ない」をつけてみましょう。活用語尾がア段の音であれば、それは五段活用の動詞なので、可能動詞にできます。
可能動詞は簡単に見分けられる
可能動詞は簡単に見分けられます。
もしも定期テストで、可能動詞を見つけ出す必要があったら、一語で「〜できる」を意味する動詞を見つけましょう。ほかにも、ご紹介した4つの特徴に当てはまれば可能動詞で間違いありません。
難しく考えなくて大丈夫なのが可能動詞です。
ただし、「見られる」のように、「動詞+られる」の形は可能動詞ではありません。そこには注意が必要です。