記事を書いて配信するときは事前に内容を確認しているはずなのに、稚拙な文章と言われてしまうと落ち込んでしまいます。
直接「稚拙(幼稚で未熟)な文章だ」と言ってもらえれば自分でも気づけますが、ほとんどの場合は言ってもらえません。自分で気づかないまま周囲にそう思われていたとしたら…と考えると記事を書くのが怖くなってしまうものです。
そこで、今回は読み手に稚拙な文章だと感じられやすい事例と言い換え表現について解説していきます。
目次
事例1. 1つの文章が長い
1つの文章が長いと、読み手は頭でイメージしにくくなるため、稚拙な文章と感じられやすくなります。伝えたいことは明確に、簡潔にまとめるように心がけましょう。
話題が切り替わるタイミングには句読点を入れると、わかりやすくなります。
【例文】
A: 今日、久しぶりに会った友人と、人気のラーメン店へ行ってきたのですが、そのお店で食べたラーメンがおいしかったので、つい替え玉をしてしまいました。
↓
A’: 今日、久しぶりに会った友人と、人気のラーメン店へ行ってきました。そのお店で食べたラーメンがおいしかったので、つい替え玉をしてしまいました。
文章は、ほどよく区切ると伝わりやすくなります。ダラダラと長く書くよりも、文脈を切らない程度に区切るのが重要です。
句読点について詳しく解説した記事もご覧ください↓
事例2. 短文を続けて使う
ダラダラと長くならなければいいんだ、というわけでもありません。文脈を無視して区切ったり、短文ばかりでも稚拙な印象を持たれてしまいます。
【例文】
B: 本日から新しい部署に配属されました。上司は初めてお会いする方でした。すごく緊張しました。実際にお話してみると気さくで明るい方でした。ホッとしました。
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B’: 本日から新しい部署に配属されました。上司は初めてお会いする方だったので、とても緊張しました。実際にお話してみると気さくな明るい方で、安心しました。
短文をつなぐときには、「〜ので」といった接続詞や句読点を適切に使えば、稚拙な印象がなくなります。
接続詞につい詳しく解説した記事もご覧ください。↓
事例3. 同じ語尾ばかりを使う
記事を作成するうえで、語尾を「です」「ます」にするよう指示があるケースも多いと思いますが、同じ語尾が続くと稚拙な文章に見えます。文章のリズムに変化がないため、退屈な文章になってしまいます。できるだけ同じ語尾が続かないように工夫しましょう。
同じ語尾の連続使用は2回くらいまでに抑えましょう。
【例文】
C: 今月は美化月間ですから、ゴミはこまめに捨てましょう。また、毎週水曜日は各部署が当番制で事務所周辺のゴミ拾いを行いますので、事前に担当週を確認しましょう。
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C’: 今月は美化月間ですから、ゴミはこまめに捨てましょう。また、毎週水曜日は各部署が当番制で事務所周辺のゴミ拾いを行いますので、事前に担当週を確認してください。
語尾を変化させると文章全体のリズムがよくなります。同じ語尾が続くときは、別の語尾に換えられないか確認してみましょう。
断定的な語尾を多用する
断定的な語尾を多用するのも注意が必要です。
「◯◯は□□なんです」「△△は◯◯なのです」
このような断定的な表現は上手く使えば効果的なのですが、使いすぎると稚拙な印象を与えてしまいます。
語尾に関して詳しく解説した記事もご覧ください。↓
事例4. 無駄な言葉を入れすぎる
無駄な言葉があると、ごちゃごちゃした印象になり、稚拙な文章だと思われてしまいます。文章を書いた後は必ず一度は自分で読んでみて、無駄な言葉がないかを確認しましょう。
【例文】
D: 姉に料理のコツを聞いてみたところ、きちんと分量を量ることが大事なんだと言っていた。また、砂糖の代わりにハチミツを入れると優しい甘みが出て、いいのだそうだ。
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D’: 姉に料理のコツを聞いてみたら、きちんと分量を量るのが大事だと言っていた。また、砂糖の代わりにハチミツを入れると優しい甘みが出て、いいそうだ。
ありがちなのは「◯◯なこと」といった、言葉の後ろに無駄な言葉をつけてしまうケースです。
また、同じことを何度も繰り返すのにも注意が必要です。
文章の内容によっては必要な時もありますが、本当に必要か確認するためにも、きちんと推敲しましょう。文章がすっきりして読みやすくなります。
事例5. 形容詞が多く、読み手に伝わらない
【例文】
E: 「きょう、かぞくでピクニックへ行きました。おべんとうがおいしかったです」
F: 「てんきがいいので、いぬをつれてさんぽしました。たのしかったです」
なんだか小学生低学年の日記のような文章ですが、この文章が幼稚に感じてしまうのは決してひらがなが多いせいだけではありません。
【例文】
E’: 「今日、家族でピクニックへ行きました。お弁当が美味しかったです」
F’: 「天気がいいので、犬を連れて散歩しました。楽しかったです」
このように漢字を使っても幼稚さは変わりません。幼稚に思えてしまう原因は「美味しかった」「楽しかった」という形容詞にあります。
形容詞は、書き手の経験からくる感情や感動を表すケースが多いのですが、読み手は書き手の感情や感動を共有できません。形容詞だけでは書き手が何に感動したのか、読み手には伝わらず、もう少し具体的に書く必要があります。
最も効果的なのは、その事にまつわるエピソードや数字、独自の事実などを加えることです。さきほどの文章を少し変えてみると…
【例文】
E”: 「家族でピクニックへ行ってお弁当を食べていたとき、カラスが急に飛んできてビックリしたので手に持っていた唐揚げを1つ芝の上に落としてしまった。カラスはその唐揚げをくわえて飛んでいった。おいしい唐揚げだったので、カラスも食べたかったのかもしれない」
【例文】
F”: 「ずっと降っていた雨がやんで、ようやく犬(ハチ)を散歩に連れて行った。久しぶりの外出で、私とハチは運動不足とストレスを解消し、楽しいひとときを過ごした」
このように、形容詞を具体化することで、読み手は何がおいしかったのか、楽しかったのかなど感じられるようになります。形容詞だけでは書き手の感動や感情は伝わらず、幼稚な文章に見えてしまいます。
読み手に疑問を抱かせない文章を書こう
さきほどは子どもの日記のような文章を例にあげましたが、今度は大人向きの文章で解説しましょう。
【例文】
G:【A社のチーズが安いのにおいしい理由とは?】
輸入食材を多く取り扱っているA社のチーズはヨーロッパから船で輸入されています。長時間かけて運ばれてくるのですが、冬でもものすごく暑い赤道直下のエリアを通過するため、チーズの質に影響がでてしまうのが問題でした。
空輸にすれば短期間で輸入できますが、費用がかかるためチーズの値段に影響が出てしまいます。そのため、A社はずっと昔からチーズを低温コンテナで輸送しています。日本についてからも、温度・湿度をしっかり管理する倉庫を作って保管しています。倉庫は全体がひんやり冷たくなる仕組みになっているため、他の輸入食材の保管にも役立っています。他の食材の保管にも活用されているため、保管コストも抑えられ、良質のチーズを低価格で提供できるのです。
だから、A社のチーズは安くてもおいしいのです。
この文章の読み手は、
「A社のチーズはどれくらい安いの?」
「船で運ぶ場合、どのくらいの時間がかかるの?」
「冬の赤道直下ってどれくらい暑いの?」
と、いろいろ気になることでしょう。
また、「ものすごく暑い」「ずっと昔」「全体がひんやり」などの表現は、稚拙な印象を与えてしまいます。
では、次のように書き換えてみたらどうなるでしょう。
【例文】
G’:【A社のチーズが200円の安さでもおいしい理由とは?】
チーズやワインなど輸入食材を多く取り扱っているA社のチーズは、ヨーロッパから船積みで2ヵ月かけて運ばれてきます。しかし、冬でも30度近い気温になる赤道直下のエリアを通過するため、チーズの質に影響が出てしまうのが問題でした。
空輸にすれば、その半分以下の期間で輸入可能でチーズの品質も保てますが、費用がかかるためチーズの値段に影響します。そのためA社は30年も前からチーズを低温コンテナで輸送しています。少しでも劣化を防ぐため、カット前のチーズを輸入し、日本についてからは完全定温・定湿に管理された倉庫で保管されます。
倉庫は全体に冷気がまんべんなく自然滞留する仕組みになっているため、ワインや生ハムなど他の輸入食材の保管にも利用可能で、保管コストも抑えられます。
だから、一般的には1カット500円する本場ヨーロッパ直輸入の良質なチーズをA社は200円で提供できるのです。
例文G’は、チーズの値段や船積みの期間など具体的な数字や言葉が入っただけで、例文Gよりわかりやすくなりました。「ものすごく暑い」は「30度近い気温」に、「ずっと昔」も「30年も前から」と言い換えれば、稚拙な印象は抑えられます。
形容詞について詳しく解説した記事もご覧ください。↓
記事を公開する前に何度も読み直し推敲するのがおすすめ
読み手に稚拙な文章だと思われないようにするには、5つのポイントに気をつけてみましょう。
- 1つの文章がダラダラと長くならないように
- 短文がいくつも続かないように
- 同じ語尾の文章を続けない
- 無駄な言葉を入れない
- 形容詞の多用に注意
記事を完成させたら、何度も読み返しておかしなところがないか確認しましょう。ほかの人に読んでもらうのもおすすめです。
せっかく書いた記事を稚拙だと思われるのは悔しいものです。ぜひ、この5つのポイントを参考にしてください。
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