感動詞は、「おお、素晴らしい」「さあ、行きましょう」の「おお」や「さあ」のように、感動や呼びかけなどを表す言葉です。
「おはよう」などの挨拶も感動詞に含まれます。
感嘆詞、間投詞とも呼ばれます。
- 「おお、素晴らしいですね」
- 「こら、やめなさい」
- 「うん、いいよ」
- 「ありがとう」
今回は、感動詞について、基礎知識、5つの種類、見分け方などを、一覧と例文つきでわかりやすく解説いたします。
また、古文や英語の感動詞もシンプルにまとめてあります。確認してみてください。
目次
感動詞とは:感動や呼びかけなどの言葉
感動詞とは、「おお、ついに出来上がりましたね」」「ねえ、いいかな」の「おお」や「ねえ」などのように、感動や呼びかけを表す言葉です。
通常、文頭にあり、単独で一文節になっているため、とても見つけやすいです。
【例文:感動詞】
まあ、なんて素晴らしい提案でしょう。
さあ、出発だ。
はい、わかりました。
はじめまして、〇〇です。
やあ、お元気でしたか?
例文の、文頭にあるのが感動詞です。たいていの場合、感動詞のあとには読点もついているため、ほかの品詞と比べてとても見つけやすいです。
感動詞は次の5種類に分けられます。
- 感動: おお あら まあ など
- 呼びかけ: おい そら もしもし など
- 応答: はい いいえ おう など
- 挨拶: おはよう こんにちは さようなら など
- かけ声: えい やあ よいしょ など
では、感動詞の特徴と働きを詳しく見ていきましょう。
感動詞の特徴と働き【独立語・自立語・活用しない】
感動詞には次の特徴があります。
【感動詞の特徴】
- 5種類に分類される
- 文頭にくることが多い(読点がつくことが多い)
- 独立語
- 自立語
- 活用しない
感動詞は、意味により5種類に分類できます。
文頭にくることが多く、後に読点もつくため、とても見つけやすいです。
また、感動詞は単独で独立語になる言葉です。
独立語とは、ほかの文節から独立している文節のことです。[注1]
さらに、自立語で活用しない、という特徴もあります。
【例文:感動詞は独立語であり自立語であり活用しない】
まあ、素敵ですね。
はい、それで大丈夫です。
おはよう、今日は早起きだね。
例文では、「まあ」「はい」「おはよう」が感動詞です。
これらは、ほかの文節には直接関係がありません。独立語であることがわかりますね。また、自立語で活用もしません。
[注]ベネッセ教育情報サイト/【国語文法】接続語と独立語の違い
感動詞の5種類
感動詞は5つに分類できます。
- 感動: 驚き・喜び・怒り・嘆きなど、心の動きから出た言葉
- 呼びかけ: 呼びかける言葉
- 応答: 呼びかけや質問に対する返事や答えの言葉
- あいさつ: あいさつの言葉
- かけ声: 勢いをつけたり、調子をとったりする言葉
それぞれ詳しく確認していきましょう。
1. 感動
驚き・喜び・怒り・嘆きなど、心の動きから出た言葉です。
【感動詞1. 感動】
- おお
- ああ
- あれ
- あら
- あっ
- えっ
- おや
- ほら
- ほう
- まあ
- やれやれ
心が動いたときに思わず出る言葉です。
【例文:感動】
おお、もう終わりましたか。
まあ、なんて素晴らしい絵でしょう。
えっ、意外ですね。
やれやれ、仕方ないですね。
2. 呼びかけ
呼びかける言葉です。相手を誘う気持ちを表すこともあります。
【感動詞2. 呼びかけ】
- おい
- もしもし
- やあ
- さあ
- そら
- それ
- どれ
- ねえ
- やい
- こら
「ねえ」は、普段の会話でも自然に使われますね。
【例文:呼びかけ】
おい、待て。
やあ、久しぶり。
さあ、食事にしよう。
こら、勉強しなさい。
3. 応答
呼びかけや質問に対する返事や答えの言葉です。
【感動詞3. 応答】
- はい
- うん
- いいえ
- いえ
- いや
- ああ
- はあ
- そう
- おう
「はい」や「いいえ」は基本的な応答ですが、これも感動詞に分類されます。
【例文:応答】
はい、そのとおりです。
いいえ、知りません。
ああ、そうですか。
はあ、困りましたね。
4. あいさつ
あいさつの言葉です。相手に対して出会いのあいさつをしたり感謝を述べたりするときに使います。
【感動詞4. あいさつ】
- おはよう
- こんにちは
- こんばんは
- ありがとう
- はじめまして
- さようなら
- ごきげんよう
普通の挨拶も感動詞に分類されるのは意外に感じるかもしれません。
「ありがとう」という感謝の言葉も、感動詞に分類されます。
【例文:あいさつ】
おはよう、今日は寒いですね。
こんにちは、お元気ですか。
こんばんは、やっと仕事が終わりました。
ありがとう、本当に。
はじめまして、よろしくお願いします。
さようなら、お元気で。
5. かけ声
かけ声は、勢いをつけたり、調子をとったりする言葉です。
【感動詞5. かけ声】
- そら
- それ
- よいしょ
- どっこいしょ
- ほいきた
- わっしょい
- えい
- やあ
かけ声にもいろいろな言葉がありますね。
「ほいきた」を実際に使う方にはあまりお目にかかりませんが…
【例文:かけ声】
そら、あそこだよ。
よいしょ、ここに置きます。
ほいきた、まかせて。
やあ、元気?
あいさつの感動詞一覧:「ありがとう」も感動詞
感動詞には5種類あることをご説明いたしました。
そのなかの、あいさつの感動詞について少し詳しく見ていきましょう。
「ありがとう」も感動詞に分類されます。
あいさつや感謝の言葉が感動詞であることに違和感がある方も少なくないため、こちらで確認しましょう。
【あいさつの感動詞】
感謝
ありがとう すみません 恐れ入ります
出会いのときのあいさつ
おはよう こんにちは こんばんは やあ よう
別れのときのあいさつ
さようなら おやすみなさい 失礼します ではまた
出発・戻りのあいさつ
行ってきます おかえりなさい
食事のあいさつ
いただきます ごちそうさま
お祝いのあいさつ
おめでとう
上記のあいさつはすべて感動詞です。
最初は違和感があるかもしれませんが、そういうものとして覚えてしまいましょう。
同音異議の感動詞:文脈で意味を判断する
感動詞には、同じ言葉でも、意味が異なるものがあります。
たとえば、「おお、驚いた」の「おお」は感動の意味ですが、「おお、まかせろ」の「おお」は応答の意味です。
複数の意味をもつ感動詞は、文脈で意味を判断しましょう。
【例文:同音異義の感動詞】
- おお、驚いた。 (感動)
- おお、まかせろ。 (応答)
- ああ、しまった。 (感動)
- ああ、いいですよ。 (応答)
- やあ、元気? (呼びかけ)
- やあ! (かけ声)
- さあ、行きましょう。 (呼びかけ)
- さあ、わかりません。 (応答)
ほかの品詞から転成した感動詞もある
ほかの品詞から転成してできた感動詞もあります。
【例文:転成してできた感動詞】
やった、勝った。(感動)
例文の「やった」は、動詞「やる」+助動詞「た」が転成してできました。
感動詞=感嘆詞=間投詞
「感動詞と感嘆詞は違うもの?」「感嘆詞と間投詞は同じでいいの?」
そんな疑問の声をお聞きしますが、感動詞と感嘆詞は同じものです。
また、間投詞とも呼ばれます。
感動詞も感嘆詞も間投詞も働きは同じです。
感動の「おお」「まあ」、呼びかけの「ねえ」「こら」、応答の「はい」「いいえ」、挨拶の「おはよう」「ありがとう」など、共通して、感動詞・感嘆詞・間投詞に分類されます。
感動詞のように、感情を伝える役割をするのが、「!」や「?」などの強調記号です。記事ブログ内に、強調記号の使い方についてわかりやすく解説した記事があります。親しみやすくリズムのある文章を作成したい場合など、参考にしてみてくださいね↓
練習問題
練習問題で感動詞の理解を定着させましょう。
【練習問題:次の文の感動詞とその意味を答えましょう】
- まあ、なんてかわいらしい女の子でしょう。
- 散らかっている。さあ、掃除しましょう。
- いいえ、私は違います。
- おはよう、いい天気ですね。
- よいしょ、重い。
【練習問題:答え】
- まあ← 感動
- さあ←呼びかけ
- いいえ←応答
- おはよう←あいさつ
- よいしょ←かけ声
古文の感動詞
古文にも感動詞はあります。
現代文の感動詞と同じく、自立語で活用しません。
古文の感動詞が現代文の感動詞と大きく異なるのは種類です。
現代文の感動詞は5種類なのに対し、古文の感動詞は3種類しかありません。
【古文の感動詞の3種類】
感動: 喜び・怒り・悲しみ・疑いなどで心が動いたときの言葉
呼びかけ: 呼びかけや誘いの言葉
応答: 相手に対する返事の言葉
古文の感動詞1. 感動
喜び・怒り・悲しみ・疑いなどで心が動いたときの言葉です。
例文で見てみましょう。
【例文:古文の感動詞1. 感動】
ああ
「ああ、あまりに、平氏の多う候に」
(ああ、あまりに平氏が多くございますので)
平家物語・鹿の谷
あつぱれ
「あつぱれ、よからうかたきがな」
(ああ、よい敵がいればなあ)
平家物語・木曽の最後
いで
「いで、いと今日あることいふ老者たちかな」
(まあ、とても面白いことを言う老人たちだなぁ)
いでや
「いでや、この世に生まれては」
(さてまあ、この世に生まれたからには)
徒然草・一段
さても
「さてもその人の事のあさましさ」
(いやはや、だれだれのことはあきれたことだ)
徒然草・二三四段
やや
「やや、鼻ひたる時、かくまじなはねば死ぬるなり」
徒然草・四七段
古文の感動詞2. 呼びかけ
呼びかけや誘いの言葉です。
例文で見てみましょう。
【例文:古文の感動詞2. 呼びかけ】
いざ
「いざ、遊ばさんや」
(さあ、お弾きになりませんか)
これ
「これ乗せて行け、具して行け」
(これ乗せて行け、連れて行け)
平家物語・足摺
やや
「やや、もの申さむ」
(もしもし、申し上げたいことがございます)
大鏡・頼忠の伝
古文の感動詞3. 応答
古文の感動詞の応答は、相手に対する返事の言葉です。
例文で見てみましょう。
【古文の感動詞3. 応答】
えい
「無期ののちに「えい」といらへたりければ」
(長い時間がたってから「はい」と返事をしたので
宇治拾遺物語・一・一二
いさ
「いさ、人のにくしとおもひたりしが」
(いいえ、ある人が私のことをにくいと思っていることが)
枕草子・一四三段
しかしか
「しかしか、さ侍りしことなり」
(そうそう、そのとおりでした)
大鏡・序
なんでふ
「なんでふ、さやうのあそび者は、人の召ししだがうてこそ参れ」
(とんでもない、そのような遊び女は、人に呼ばれてマイルものだ)
平家物語・祇王
英語の感動詞
英語にも感動詞はあります。英語で感動詞はinterjectionと呼ばれます。
「おっと!」の意味の「oops」は、定番のフレーズですね。
日本語でも会話でよく使う感動詞は、英語でも言えるようにしておくと表現に困りません。
それでは英語の感動詞をご紹介いたします。
【英語の感動詞】
意味 | 英語 | 国語 |
驚き | Oh | おお |
Oops | おっと | |
What a〜 | なんて〜だ! | |
呼びかけ | Hey | ねえ |
あいづち | Uh-huh | うんうん |
ポジティブ | Yay | やった |
ネガティブ | Boo | えー |
Yuck! | げっ | |
ため息 | Duh | はあ |
安心 | Phew | ふう |
感動 | Aww! | わあ |
SNSや日常会話で活用してみてください。
感動詞は感情を込める場面で活用しよう
状況を臨場感たっぷりに伝えられるのが感動詞です。
使用するのは、おもに会話文やセリフですが、コラムでもここぞという場面で使ってみるのも面白いですね。
読み手が共感できる使い方を考え、上手に活用していきましょう。