文字校正とは?今すぐ役立つ5つのチェックポイントと手順

文字校正のやり方

文字校正とは、文章の誤りを見つけて修正し、文章を正しく整える仕事です。

適切に文字校正された文章は、読みやすく整えられていて読み手に負担をかけません。

自己流の文章か、プロの文章か、その差がここで生まれます。

 

文章による情報発信を仕事にするなら、文字校正の知識はぜひ身につけておきましょう。

本や雑誌などの紙媒体だけではなく、ホームページなどの電子媒体でも、文字校正の需要は増えています。

電子媒体では、ライターや編集者であっても、文字校正が行えるほうがよいでしょう。

 

こちらでは、文字校正の基礎知識と、今すぐ役立つ文字校正の方法をご紹介します。

文字校正で文章の質を高めましょう。

 

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文字校正とは?校閲や推敲との違いも含めて解説

文字校正とは

 

文字校正とは、誤字脱字や表記ゆれなどを見つけて修正し、文章を正しく整える仕事です。

おもに下記をチェックします。

  1. 誤字脱字
  2. 表記ゆれ (漢字表記、ひらがな表記などを表記ルールに沿って統一)
  3. 数字表記 (算用数字か漢数字か)(全角か半角か)
  4. 正しい日本語
  5. 体裁の整合性

 

数字表記の統一も、表記ゆれのチェックに含まれますが、ここでは確認しやすくするために分けて解説します。

文字校正の作業を行うのが、本や雑誌などの出版物のみであった頃、文字校正とは、印刷物の仮刷りと原稿を照合し、誤植や体裁の誤りを正すことを指しました。本来、「校正」という言葉が意味するのはこちらのほうでした。

 

しかし、現在は、ホームページ、SNSなど、電子媒体でも文章作成が行われ、情報が発信されています。電子媒体では、印刷物を出版する工程はないため、仮刷りと原稿を照合する作業はありません。電子媒体では、テキストデータを目視で確認し、上記5点をチェックする作業を文字校正とします。

 

また、校正と仕事内容が混同されがちな言葉に「校閲」「推敲」があります。

下記がそれぞれの仕事内容です。

 

  • 校閲 : 文章の内容や情報に誤りがないかを確認して修正する
  • 推敲 : 文章を吟味して練り直す

 

校閲と推敲も、文章の誤りを見つけたり体裁を直したりする部分は同じですが、チェックすべき点が、校閲は情報の誤り、推敲は文章の出来不出来に特化しています。

たとえば、日本語として間違っているわけではないけれど、より洗練された文章に修正するのは推敲にあたります。

文字校正でチェックすべき5つのポイント

それでは、校正でチェックすべき「誤字脱字」「表記ゆれ」「数字表記」「正しい日本語」「体裁の整合性」について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

チェックポイント1. 誤字脱字【誤認識・変換ミス・タイプミス】

誤字脱字を校正でチェックする

ライターの方がどんなに丁寧に原稿を仕上げても、どうしても細かい誤字脱字は発生してしまいます。

これは1人の力の限界であるため、仕上がった原稿をチェックする第三者の目が必要です。ここに校正の意義があります。

 

誤字脱字には、「執筆者の誤認識によるミス」「変換ミス」「タイプミス」が含まれます。

とくにPCで執筆する現代では、変換ミス、タイプミスは避けられません。

取りこぼすことなく見つけましょう。

 

誤認識

まず、誤認識とは、漢字を誤って覚えたまま使ってしまうパターンです。書き間違えしやすい漢字を確認しておきましょう。

間違い例 修正後
暖かいスープ 温かいスープ
誤ちを改める 過ちを改める
一同に会する 一堂に会する
完壁 完璧
仕事三味 仕事三昧

 

思い込みで間違った字をずっと使い続けているパターンもあります。間違えやすい漢字をまとめた本やサイトでチェックしておきましょう。

 

変換ミス

次に、変換ミスです。

思わず笑ってしまうミスもあります。お気をつけください。

間違い例 修正後
子牛を募集する 講師を募集する
懲役3年を休憩する 懲役3年を求刑する
帝国に帰る 定刻に帰る
執筆二千年する 執筆に専念する
誤認識のとおりです ご認識のとおりです
進退について減給する 進退について言及する
日本は放置国家です 日本は法治国家です
プロに依頼するのが政界です プロに依頼するのが正解です
プランの再興をお願いします プランの再考をお願いします
検定試験管の仕事がある 検定試験官の仕事がある

 

タイプミス

単純なタイプミスもあります。

間違い例 修正後
極悪人ください ご確認ください
尾根芸します お願いします
忘れて下しい  忘れてください
鎧食お願いします よろしくお願いします
廃棄出来良い 廃棄でよい
タイプ椅子 タイプミス

 

変換ミス・タイプミスは、急いでいるときに発生しがちです。

執筆される際は、焦らずに画面の文字を見ながら執筆しましょう。

文字校正される際は、文章の意味も理解しながら読み進めていけば、ミスに気がつきやすいでしょう。

 

チェックポイント2. 表記ゆれ

表記ゆれとは、ひとつの文章のなかで、同じ単語について2通り以上の書き方がされていることを指します。

たとえば、犬は、「犬」「いぬ」「イヌ」のように、同じ意味でも漢字・ひらがな・カタカナと、3つの書き方があります。この場合、一つの文章のなかでは、書き方を揃えなければなりません。もしも書き方が統一されていない場合、「表記ゆれ」とされます。

例文で見てみましょう。

 

【例文:表記ゆれ】

表記ゆれ:

我が家で飼っているはとてもかわいい。そのイヌを子ども達もとても可愛がっている。

改善例:

我が家で飼っている犬はとてもかわいい。そのを子ども達もとてもかわいがっている。

 

ほかにも、「コンピューター」と「コンピュータ」など外来語の表記ゆれ、「WEB」と「Web」など大文字・小文字の表記ゆれなどがあります。

表記ゆれしやすいのは、次の特徴をもつ言葉です。

  • 漢字・ひらがな・カタカナ、複数の表記ができる
  • 送り仮名に複数のパターンがある

 

例で見てみましょう。

 

【例:表記ゆれしやすい言葉】

  • 「いぬ」 「イヌ」 「犬」
  • 「コンピューター」 「コンピュータ」
  • 「税込み」 「税込」
  • 「うれしい」 「嬉しい」
  • 「あらかじめ」 「予め」
  • 「ください」 「下さい」
  • 「あいさつ」 「挨拶」
  • 「引っ越し」 「引越し」 「引越」
  • 「行う」 「行なう」

 

とくに表記ゆれしやすい言葉は、社内ルールで表記を統一しておきましょう。

表記をどうするか判断に迷う場合は、共同通信社の「記者ハンドブック」を参考にしてもよいでしょう。

 

表記ゆれについて解説した記事もご覧ください。↓

表記ゆれとは?11の事例と対策

 

チェックポイント3. 数字表記

文字校正では、数字表記も統一されているかチェックが必要です。

数字表記には、算用数字と漢数字があります。

 

  • 算用数字:0123456789
  • 漢数字 :零一二三四五六七八九十

 

数字表記が統一されていない記事は、読みにくく、読み手に負担をかけてしまいます。

「一日?1日?どちらで書いてあるのが正解だろう…」

文字校正していると迷うときがあります。

迷う場合は、社内表記ルールをしっかり確認しましょう。

 

社内ルールを作成する際には、共同通信社「記者ハンドブック」文化庁の資料などに基づいた数字表記の一般的なルールを確認して行います。

 

【一般的な算用数字と漢数字の使い分け】

算用数字 漢数字
ほかの数に置き換えられる数字 語句を構成する要素である数字
数量 慣用句
順序 ことわざ
熟語

 

一般的なルールを参考に、社内やご自身の記事に合う表記ルールを設定しましょう。

文字校正の際は、設定したルールに基づいて確認します。

 

算用数字と漢数字の使い分けについて解説した記事もご覧ください。↓

算用数字と漢数字の使い分け7つのポイント

 

チェックポイント4. 正しい日本語

明らかな敬語の間違いがある場合や、日本語の意味を取り違えて使用している場合、校正の段階で見つけて修正しましょう。

例文で見てみましょう。

 

【例文:敬語の間違い】

謙譲語の間違い: お気軽にご相談してください。

改善例:     お気軽にご相談ください。

 

「お〜する」は、自分の動作をへりくだって相手を敬う謙譲語です。相手の動作を表現する際に使うのは間違いです。

とくに敬語はうっかり間違えてしまいがちです。普段からよく確認して校正に臨みましょう。

 

謙譲語についても、記事ブログ内に私がわかりやすく解説した記事があります。混同されやすい謙譲語と尊敬語の違いと使い分けの方法も例文を挙げてお伝えしています。こちらも、ぜひ、ご覧くださいね↓

謙譲語とは?3つのパターンでわかりやすく解説【尊敬語との違いも簡単に】

 

チェックポイント5. 体裁の整合性

引用元や参考元など、エビデンスの記載も、社内ルールなどで表記を統一します。

目次と見出しが合っているか、表の記載方法が統一されているか、など、全体の体裁をしっかり確認しましょう。

全体の体裁の整合性を確認して修正することは、文章を理解しやすくスッキリした印象にするため、大切です。

 

文字校正の手順:テキストデータの場合

文字校正のチェックポイント(テキストデータの場合)

それでは、文字校正の方法をご紹介します。

まず、ホームページなどの電子媒体によるテキストデータの校正についてその手順を解説いたします。

電子媒体の文字校正では、テキストデータを目視でチェックし、間違いを修正していきます。

原稿と印刷物の照合は必要ありません。専門的な校正記号も必要ありません。

前述した5つのポイントに沿ってチェックしていきます。

 

手順1. 誤字脱字をチェックする

テキストデータを目視で確認しながら誤字脱字をチェックします。

前述した「誤認識による漢字の間違い」「変換ミス」「タイプミス」を修正します。

 

手順2. 表記ゆれを修正する

社内表記ルール、或いはクライアントの表記ルールに合わせて表記を統一します。

表記ゆれがある場合には修正します。

 

手順3. 数字表記を統一する

数字表記も統一します。

数字表記のチェックは、表記ゆれのチェックにも含まれますが、とくに数字だけに注目するとミスを発見しやすいため、項目を分けました。

次のポイントをしっかり確認しましょう。

  • 算用数字か漢数字か
  • 全角か半角か
  • 金額の表記は統一してあるか

とくに、金額は、「千円」と「1,000円」など、表記に迷いがちです。ルールに沿って統一しましょう。

 

手順4. 日本語の間違いを修正する

基本的な敬語の間違いなど、日本語の間違いも修正します。

洗練された文章にするための修正は、「推敲」に入りますが、細かい日本語の間違いの修正は校正の領域です。

 

執筆から校正までお一人で行う方は、書き上がったあとに、2〜3時間、時間を置いてから校正してみると、より間違いを見つけやすいでしょう。

 

手順5. 体裁を整える

引用元や参考元の表記の仕方なども、社内ルールなどの基準に合わせて整えます。

「」←かっこ内は文末に句点(。)をつけないなど、細部まで確認します。

 

文字校正の手順:印刷の場合

文字校正のチェックポイント(印刷の場合)

 

本などの出版物の場合、「校正」とは、原稿と印刷したものを比べて誤りを正す工程を指します。

印刷物の校正でおもにチェックするポイントは次の4つです。

  1. 固有名詞(地名・社名・商品名など)
  2. 数値(価格・日程など)
  3. 誤字脱字
  4. 改行位置

 

紙媒体の校正では、修正指示は、校正記号を使い、赤色の文字で記入します。

テキストデータの校正には不必要かもしれませんが、知っておくと、役に立つ場面もあるでしょう。

修正指示 赤字
削除 文字に斜線を引いて「トル」と記入する
修正 文字に斜線を引いて正しい文字を記入する
削除し、その部分を空ける 斜線を引いて、「トルアキ」と記入する
修正指示の取り消し 修正内容に斜線を引き、

修正位置の近くに「イキ」と記入する

 

修正をとりやめる際の指示を「イキ」と表記するなど、いかにも業界用語らしくて面白いですね。

校正記号は、日本工業規格(JIS)によって定められています。正しい記号を使用して校正することにより、指示を明確にできます。

 

校正ツールはサポートとして使用する

文字校正をしてくれるWEBツールもあります。

誤字脱字、言葉の誤用、表記の間違いなどをチェックしてくれます。

漢字の使用率を出して、適正かどうか判断してくれるツールもあります。

 

ただし、これらの校正ツールは完璧ではないため、あくまでサポートとして利用しましょう

ライターの方が納品前に使用し、自分だけでは気が付かなかったミスをチェックする場合などに適しています。

急いでいるときには、ワードのチェック機能を補助的に利用するのもよいでしょう。

 

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文字校正は自己流の文章をプロの文章へ格上げする

信頼される文章、読みやすい文章であるためには、文字校正の作業は必要不可欠です。

  • 誤字脱字がない
  • 表記が統一されている
  • 日本語の間違いがない
  • 体裁に整合性がある

文字校正で上記を整えることはとても重要です。

上記はどれも、プロが作成した文章と思ってもらうために欠かせないからです。

正確に校正作業を行うためには、まずは最低限の表記ルールを頭に入れておきましょう。

一つひとつ丁寧に積み上げていくことで、読みやすく整った文章が仕上がります。

 

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