自社サイトのアクセスを伸ばそうとするならば、誰もが一度はSEOという言葉を目にしたことがあるはずです。
SEO対策と呼ばれるWEBマーケティングの手法は、これまで自分が持っていた記事執筆に対する考えとは大きく異なり、SEOを理解すればするほど既存コンテンツを書き直したくなるのではないでしょうか。
そこで本記事では、WEBサイトのアクセス数改善目的のリライト手法をご紹介した上で、リライトを行う際に注意すべき項目について解説します。記事の後半では当サイトWEB担当者が記事のリライト時に工夫していることもお伝えしますので、ぜひご活用ください。
リライトとは?SEO対策との関係
一言で「リライト」と言っても、それの意味するところは複数あります。
どのような目的があって既存コンテンツを書き直すのか、その目的によってリライトの方法は大きく異なるのです。まずは「リライト」の持つ複数の意味を確認しましょう。
- 旧情報を更新する目的で行うリライト
- 競合コンテンツのコピー回避策としてのリライト
- 既存コンテンツの検索順位改善目的で行う、SEO重視のリライト
本記事で扱う「リライト」は3番目のものになります。
旧情報を更新する目的で行うリライト
トレンド色の強いサイトや情報サイトなどを運営されているなら、旧情報を更新する目的で行うリライトが必要です。
この時は特にSEO対策のことを考える必要はなく、単純に旧情報を最新情報に更新することだけに注力します。ウェブサイトの規模が大きければ大きいほどリライトの回数と手間がかかり、管理が手間になることが特徴です。
競合コンテンツのコピー回避策としてのリライト
競合サイトのコンテンツを参考に記事を執筆する場合は、自社コンテンツがコピーコンテンツだと判定を受けないように適宜リライトする必要があります。
コピー回避策としてのリライトは「パラフレーズ」に最も注力します。もちろんSEO対策も考慮しながらライティングする必要がありますが、あくまでメインの目的は「コピー回避」です。
既存コンテンツの検索順位改善目的で行うSEOリライト
既存コンテンツの検索順位改善目的で行うSEOリライトでは、過去に投稿した記事の内容を追記・改変することで、より検索エンジンに評価されるコンテンツを制作します。
執筆した記事にある程度の検索順位が付いた段階で、Googleのインデックスデータを参考にしながら適切な記事のリライトを行うことが主な手法です。
本記事では「検索順位改善目的で行うSEOリライト」についての情報を取り扱います。
SEOに有効なリライトのやり方
それでは、検索順位改善目的で行うSEOリライトの具体的な手法をご紹介します。まず初めにリライト方法の大枠から見ていきましょう。
- リライト対象記事とキーワードの選定を行う
- 選定した記事ひとつひとつについて、本当にリライトするべきかどうか検討する
- リライトする
根拠なく手探りでリライトした場合、検索順位が以前に増して悪化する場合もあります。いきなり既存記事のリライトに走るのではなく、どのようにリライトするべきか方針を固める必要があります。
SEOに効果的なリライト1. 対象記事とキーワードの選定
まずは自サイト内コンテンツからリライトすべき記事とそのキーワードを選定します。
- Googleサーチコンソールなどで特定記事の検索順位を確認する
- ある程度の期間中、検索順位が安定していて動かないキーワードがあればピックアップしてリストを作成する
- リストの中から (1)月間検索ボリューム (2)CVR などの評価要因を利用してリライト優先順位を付ける
- 優先順位の高い記事から順にリライトする
リライト対象となる記事は (1)検索順位が安定している記事 と(2)一定期間経っても100位以内にランクインしない記事 です。
(1)検索順位が安定しない記事は、その後の順位推移がリライトによるものかどうか判断できないため、候補から外すべきです。リライトを仕掛けるべき記事は検索順位が安定している記事だと覚えてください。
(2)記事を投稿してから一定期間経過したにもかかわらず検索順位の付かない記事に対しては、今後放置していても大した結果を生まないため、大幅なリライトを仕掛けましょう。
どの記事を優先的にリライトすべきか判断するためには、Googleアナリティクスや SearchConsole、場合によってはサードパーティーツール(Ahrefsなど)のツール利用が便利です。
サーチコンソールについては、下記の記事をご参照ください。
SEOに効果的なリライト2. リライト方針の検討
リライト候補となる記事やキーワードを選定した後は、一つ一つの記事に対してどのようなリライトを行うか検討します。
- 自サイトコンテンツよりも上位に位置している競合サイトの記事を全て閲覧する
- 競合サイトコンテンツと比較しつつ、自サイトが現順位に留まっている原因を分析する
- 主な原因が内的要因なのであれば、記事のリライトを行う
記事のリライトを行う際に何よりも重要視するべきは、Googleクローラーとアルゴリズムによって順位付けされた実際の検索順位です。
Google検索エンジンの上位に表示されている記事には、上位表示されるだけの理由があります。自サイトのコンテンツをリライトする際はどのような理由で競合サイトが上位表示されているのかを適切に見抜き、分析する必要があるでしょう。
自サイトが現検索順位に留まっている理由としては、以下の要素が考えられます。
- 被リンク・ドメインパワーなど外的要因
- コンテンツ内容不足や検索意図とのズレなど内的要因
外的要因が主な理由として考えられるのであれば、短期間でどうこうできる原因ではないため、記事をリライト候補から外します。
コンテンツの内容が競合と比べて不足していたり、自サイトのコンテンツが狙ったキーワードの検索意図とズレていたりする場合にはリライトを行います。
SEOに効果的なリライト3. 実際に記事をリライトする
記事の内容を最適化することで検索順位の改善を見込めるようであれば、SEO対策に従ったリライトをしましょう。
- 検索意図をより正確に汲み取ったコンテンツの大幅な改定
- ターゲットキーワードのさらなる追記
- 足りていない情報の追記
- オリジナル画像、動画などの挿入
この時ヒントとなるのは、自サイトよりも上位に位置する競合コンテンツの内容です。例えば検索1位から3位に共通して掲載されている情報が自サイトに掲載されていないのなら、リライト時に追記するべきだと言えます。
また、見出しやタイトル中に記事執筆時に想定していたターゲットキーワードが抜け落ちているのであれば、適宜挿入しなおすことも効果的です。
ターゲットキーワードが「これ」「それ」などの代名詞に置き換わっていたり、主語省略などによって抜け落ちている場合は文章が不自然にならない程度にリライトすることも検討しましょう。
検索キーワードによってGoogleの検索結果の様相が大きく異なる点もポイントです。「オムライス屋」という検索キーワードでは地図のタブが左側にあり、Googleマップのナレッジパネルが表示されています。一方で「オムライス レシピ」という検索キーワードでは動画や画像が左側に表示されていました。
このことから検索キーワードによって重視される情報が大きく異なることも推測できます。以上の例なら「オムライス レシピ」で記事を書くときは、画像メディアより動画メディアを設置した方がユーザーに好意的であるとGoogleは考えている様です。
SEO対策については、下記の記事をご参照ください。
ダメなSEOリライトの例
検索順位改善目的で行い、SEOを重視するリライトの場合に限っては、避けるべきリライトの手法も存在します。
- 具体的なターゲットキーワードを想定しないリライト
- ターゲットキーワードの検索意図を遵守しないリライト
- ターゲットキーワードごと書き換えてしまうリライト
特に3番目はよく起こる間違いなので、注意しましょう。以下の例を見てください。
【ターゲットキーワード:「中古車 売却」「中古車 一括査定」】
リライト前:中古車の売却には一括査定サービスの利用がおすすめです。
リライト後:愛車を手放すなら、複数の業者から一度に査定してもらいましょう。
リライト前後の文章を見比べると、どちらの文も同じ意味を持っていて、適切なパラフレーズが出来ています。以上の例は「コピーコンテンツを回避する目的のリライト」であれば全く問題ありませんが、「検索順位改善目的の、SEOリライト」ならその意味を為しません。
これは本来狙っていたはずのターゲットキーワードまでもリライトしてしまったことが理由です。想定したキーワードで上位表示されないため、キーワードは十分に意識しながらリライトしましょう。
コンテンツのSEOリライト時に役立つヒント
次に、既存コンテンツのSEOリライト時に役立つヒントをご紹介します。
- リライト結果が検索順位に反映されるまでの時間
- リライト効果を分析する時のポイント
- ロングテールキーワードの見つけ方
- ウェブサイト運営の目的を見失わない
SEOリライト結果が反映されるまでの時間
SEOを重視したリライトの結果が検索順位に反映されるまでの時間はサイトによって大きく変わり、運営歴の長いサイトや、すでに一定の成果が出ているサイトほど早い傾向にあります。
これは単純に、以上の特徴があるウェブサイトを、Googleクローラーがより優先的に高い頻度で訪れるからです。新規に立ち上げたウェブサイトが伸びにくい理由も、立ち上げから3カ月は結果がでないと言われている理由も、全てGoogleクローラーの訪問率で説明することが出来ます。
SEOリライトを行ったことで順位変動する仕組みについては以下の図を参考にしてください。
Googleは検索順位を複数の要因で決定しています。その中でも大きい割合を占めている要素が「ドメインパワー」と「コンテンツの内容」で、双方がより高いスコアであるウェブサイトが検索上位表示されます。
記事をリライトすることで検索順位が上昇した現象は、検索順位決定要因のうち「コンテンツ内容」の評価スコアが上昇し、記事単位で振り分けられている(であろう)総合スコアが競合サイトを追い抜くことによって起こります。
したがってリライトの結果が検索順位に反映されるまでの時間は一概に定義することができません。2週間から1カ月ほどのスパンで定期的に検索順位の推移をチェックし、結果が出たと判断した時点で再調査すると良いでしょう。
SEO対策がサイト順位に反映される期間については、下記の記事をご参照ください。
SEOリライト効果を分析するタスク管理法
既存コンテンツのリライトタスクは、管理しているウェブサイトが大規模であればあるほど膨大になります。リライトは1度限りで終了するものでもなく、長期的に継続して行う必要のあることであるため、タスク管理が非常に困難です。そこで以下の方法を取り入れましょう。
- 記事のリライト日時とその内容、リライト前の検索順位を1か月後にリマインダー設定する
- 1カ月後、リマインダーが起動
- リマインダーに書かれている情報をもとに、どのようなリライト効果があったのか比較検討する
この時、検索順位が下落しているのであれば、その時に行ったリライトが最適なものでなかったと理解できます。リライト方法を再検討し、必要に応じて1ヵ月前の記事内容に戻しましょう。
サーチコンソールの有効活用
リライト記事の検討をする際、サーチコンソールを見ることで自分が想定していなかったロングテールキーワードを見つけることができます。想定外のキーワードを見つけたのであれば、リライトの際に積極的に記事へ文字列を追記するようにしましょう。
- サーチコンソールでインデックスデータを確認する
- 意図していないロングテールキーワードがないか確認
- あれば、キーワード単位で見出しへ追記
ロングテールSEOについては、下記の記事をご参照ください。
ウェブサイト運営の目的を見失わない
ウェブコンテンツのリライトを行っていると、PVなどのデータを重視するあまり、ウェブサイト運営の本来の目的を見失ってしまうことがあります。
ウェブサイトのアクセス数は単なる手段にすぎず、それが目的になることはありません。サイト運営の目的達成率を改善するために有効な手段はアクセス改善以外にも複数あるため、その中で最も効果が高い施策を段階的に実施することを推奨します。
例えばメタディスクリプションのリライトを行い、変更前後でCTRのABテストすることなどがあります。いくら検索順位が高いといっても、検索ユーザーからページタイトルをクリックされないのであれば意味がありません。
ウェブコンテンツはリライト前提で投稿していくべき
これから新規投稿する記事がどのようなキーワードで何位に位置するかということは誰にも予想できません。
WEBサイトの業績改善のために行う全ての施策を考えるとき、まずは何よりもGoogleによって提供されたデータに注力するべきです。その意味では、特にウェブサイト立ち上げ期においてはコンテンツの質よりも量を重要視するべきだと言えます。
できるだけ多くのデータをGoogleから収集するため、多くのコンテンツを投下し、データが貯まった時点で既存コンテンツのリライトを開始する。そのような「リライトを前提とした運営方法」こそがウェブサイト担当者に求められる姿ではないでしょうか。